「課題研究」の成果を報告 全教連の先進的な取り組み

全国教育研究所連盟はこのほど、「平成26・27年度『全教連課題研究』全体会議」を開催し、2年間の研究成果の概要を担当の2機関が報告した。この課題研究は、同連盟加盟機関全体で設定した研究課題について複数の機関が取り組むことによって、組織的な研究機能の向上、教育現場を支援する力の向上を目指すもので、28年度から新しいテーマの研究がスタートする。

報告① 学び合いの促進要因示す
埼玉県立総合教育センター

埼玉県立総合教育センターは、「『教員の学びを支える学校内・学校間ネットワークの構築』に関する調査研究」について報告、高校における学び合いの促進要因、阻害要因などを明らかにした。

研究の目的は、(1)学校内あるいは学校間で教員が学び合う現状を把握し、成功事例を発信する(2)研究協力校の教員の学び合いの成功事例と失敗事例を調査し、共通する促進要因と阻害要因を分析する(3)各研究協力校の課題解決に向けて、教員がチームで取り組むプロジェクトを導入し、その過程と結果を分析し、教員の資質向上を支える学校内・学校間ネットワーク構築の一助とする――というもの。

東京大学大学院教育学研究科と県教委が連携した調査研究チームを組織するとともに、県内8校(高校6校、特別支援学校2校)に研究協力校を委嘱し、学校訪問による学び合いの事例収集と分析などを軸に研究を推進した。

初年度は、研究協力校から28の学び合い事例を収集し、その分析から学び合いの促進要因として、(1)専門性との内容的レリバンス(2)危機感の共有(3)組織化・システム化(4)キーパーソンの存在(5)コミュニケーションの「場」(6)コミュニケーションのツール(7)若手とベテラン教員の協働(8)副次的効果・波及効果(9)外部機関との連携(10)学び合う土壌(学校文化としての定着)――など10個の条件を抽出した。

一方、阻害要因として、(1)学科・教科・学年の壁(2)ミドルリーダーの不足(3)スペシャリストに頼る風土(4)学び合いを促進する組織・システムの不在――などであることを明らかにした。これらの成果をまとめ、リーフレット『教員の学び合いを促進するためのヒント・事例集』を作成している。

続く次年度は、研究協力校に「学校の課題解決に向けたベテラン教員チームのプロジェクト」「ベテラン教員を巻き込んだ若手教員チームのプロジェクト」のうち一つを実践してもらい、その過程観察を通して促進・阻害要因の検証を実施した。その結果、新たに次の要因を確認した。

▽促進要因=(1)職員室や準備室等の机の配置(2)コミュニケーションの機会(3)役割・立場の変化(4)情報の事前共有(5)失敗を受け止められる寛容性(6)教員レベルでの管理職のフォロワーの存在(7)ベテランからの声かけ(8)目に見える成果(生徒の変容)▽阻害要因=(1)職員室や準備室等の机の配置(2)物理的距離(3)長時間の会議(4)人員の固定化(5)マイナスベクトルの存在(6)新しいツールの未活用(7)やらされ感

同センターでは、これらの成果をもとに「促進要因と阻害要因の精選」「学校間ネットワーク会議との連携」などを目指すとしている。

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