【連載】くちから語る健康 第38回 トップアスリートの口

日本大学歯学部医療人間科学教室教授・歯学博士 尾﨑哲則

今年、リオデジャネイロ・オリンピックの最終予選が、各競技で本格化してきました。そして、東京オリンピック・パラリンピックまで4年と少々になってきました。

国には「スポーツ庁」ができ、以前とは異なった状況で、オリンピック・パラリンピックを迎えそうです。この影響もあり、東京都心の学校では、トップアスリートが学校を訪問し、講演やワークショップをする機会が増えています。

先日、トップアスリートの訪問を受けたことのある小学校で、5年生を対象とした「トップアスリートは、どのような生活をしているのだろうか」というテーマで、学活の時間を用いた授業がありました。

児童からのいろいろな意見を聞きながら、教師が用意したいろいろな資料を見せていくと、「基本的に、かなり節制した生活をしている」と、みえてきたようでした。

具体的なものとして、早寝・早起きが基本である。好き嫌いなく3食をよくかんで食べるなどが出てきました。

また「力を出すとき、口元はどうなっているのだろうか?」との問いについては、実際に口を開けたり、閉じたり、噛み締めたり、しなかったしながら、握力計を使い、どれほど力が出るのか、出ないのか、測定しました。

その結果、しっかりかみ締めたときが、どの児童も最高値でした。この後は、教員側からの働きかけをしないで、児童にゆだねました。

児童が導いたのは、「むし歯のない歯でしっかりかみ締めることできないと、力は出ない」でした。そのためには、規則正しい生活習慣を守ることや歯を大事にするなどが出てきました。

トップアスリートは特別な人であるけれど、日常生活は誰もがしている習慣を、よりしっかりと行っている人たちだと気づいたようでした。

トップアスリートが学校に来た。話を聞いて、スポーツをしようというような、単純なものでなく、この事例のように、日々の生活習慣形成や健康の話題へとつないでいくことが、大きなオリンピック効果と考えています。

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