第6回ESD大賞の実践紹介 高等学校賞

国際理解講演会を開催
国際理解講演会を開催

NPO法人日本持続発展教育(ESD)推進フォーラム主催の第6回ESD大賞受賞校の実践から、中学校賞、高等学校賞の実践を紹介する。受賞校の実践はこのほど、「第6回ESD大賞受賞校実践集」として刊行され、全国のユネスコスクールに配布された。

北海道留辺蘂高等学校
キャリア教育を全体計画に
小規模総合学科の特色生かす

本校は平成24年度にユネスコスクールに加盟。英語や理科の授業を中心にESDの実践を行ってきた。キャリア教育の全体図の中にESDの概念を位置付け、4年をかけて全教科の学習計画の中にESDの観点を取り入れ、授業だけではなく評価の方法も抜本的に改革した。

▽全体計画とキャリア教育
当初、ユネスコスクール推進教員を1人おいて、ESD活動の窓口にしたが、個人の負担が大きく、学校全体の中に浸透させることが難しかった。27年度から分掌内にESDの仕事を組み込み、推進教員と分掌の横の連携を強化させながら、学校全体で効果的にESDに取り組む体制を整えた。年度初めに全教職員が「キャリア教育に基づくESDの全体計画」(年間計画)を立て、各教科だけではなく、分掌・学年・特別活動の中でESDの取り組み目標を設定し、総合学科のESDカレンダーを作成した。それをもとに、年2回「ESDふりかえりシート」を活用し、それぞれの活動を総括することで、効果的なESD活動を行えるよう工夫した。

▽教育課程の変化
文理系列、商業・情報系列、芸術・体育系列、家庭・福祉系列の4系列を軸に教育課程を編成していた。ユネスコスクール加盟以後、4系列を見直し、国際系列と福祉系列の2系列と定めた。この2系列の特徴は、系列内にグループをおく新しい発想である。国際系列には、国際理解グループと環境グループ、福祉系列には、福祉グループ、保育グループ、ビジネスグループを内包し、「コミュニケーション力」をキーワードとした。これはESDの「つながり」に対応するものである。各グループでの学習内容を、既存の学習指導要領の内容に加え、ESDを視点にすることによって、学習成果の向上を図った。

▽各教科等でのESD実践
「国際理解・人権・平和教育」=世界一大きな授業に参加し、国語科と理科が連携し「環境科学」「国語応用2.」「産業社会と人間」の授業で、世界の環境汚染、貧困、識字などを題材に教育の大切さについて考える授業を行った。

「英語科でのESD実践」=ペアワークやグループでのスキット活動を行い、学び合いができる環境づくりに努めている。3年生の授業では「私の名前の由来」発表、「私の理想のロボット」、「北海道の観光地紹介」プレゼンテーション、ショッピングスキット等を行った。また、ALTの協力を得ながら、毎月英語科通信を発行し、授業で取り上げて、英語に親しんだり、異文化への興味関心を持たせたりするきっかけとしている。学校設定科目「外国事情」では、年5~6回複数の北見工業大学の留学生を講師として招き、母国の文化や教育事情について講話を実施している。

「理科でのESD実践」=学校設定科目「環境科学」の授業では、「教室の中にある身近なごみ問題からグローバルな環境汚染へ」というような連続したスケールで問題を設定し、課題解決能力を養うことを目的とし、(1)ESDを基軸とした環境論の授業計画の策定と実施(2)言語活動を中心とした理科教育と科学技術コミュニケーションの実践(3)地域活動を通じた人のつながりとコミュニケーション力の育成――という3つの柱を軸に教育活動を展開してきた。

▽地域に根差した福祉・家庭教育
町内の保育園・幼稚園や福祉施設と連携し、「子どもの発達と保育」「子ども文化」「介護福祉基礎」等の授業では、子どもや施設利用者との交流を積極的に実施。留辺蘂町内の地域イベントでのボランティア活動にも参加するなど、地域とのつながりの意識やコミュニケーション能力の育成を図った。

▽主な成果
全教職員がESDに前向きに取り組んでいるが、達成状況はまだ十分ではなく、より高い能力を生徒一人ひとりに身につけさせようとする教職員側の意欲が見られる。教職員が人とのつながりや地域とのつながりを深く考えて教育活動を行うようになり、気持ちの変化が見られ、ESDへの意識が向上している。

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