教科書の日 責任感と誇りをもって制作

4月10日は「教科書の日」

学校現場と子どもに寄り添う教科書
優れた内容が学習を支援する

常に学校現場とつながりをもち、子どもに寄り添った教科書を――。4月10日は「教科書の日」。学校教育に果たしてきた「教科書」の役割を広く知ってもらうとともに、その存在意義の啓発を目指したものである。教科書発行者の教科書制作に対する思いを紹介することで、改めて教科書の価値に焦点を当てたい。

教科書は、文科大臣の指定を受けた民間の出版社や団体が制作・発行している。どのようにつくられているかは、(一社)教科書協会の啓発冊子『教科書の質的向上をめざして』で、「各発行者は学習指導要領などに基づいて作成。学校の教師や専門家と会議を重ね、レイアウトなど工夫して原稿を作成し、図表・写真など本文を支える適切な資料も整える」(要約)と説明されている。

小・中学校用教科書発行会社のベテラン編集者であるA編集長に制作過程の詳細を聞いた。まず教育政策の動向や方向性の検討と編集委員(著者)の選定から、教科書制作は始まるという。編集委員とともに中教審の審議過程や答申の分析、学習指導要領の徹底的な読み込みを行う。並行して現行の教科書が学校現場でどのように使われ、どのような評価を得ているかをアンケートなどでリサーチ。これらが、新しい教科書づくりのベースとなる。

特に欠かせないのが、学校現場とのつながりだ。現場に通い、研究授業だけでなく普段の授業も参観、教科書がどのように使われているか、子どもたちはどのような反応を示すのか、また、興味・関心はどこにあるか、これらを実際に目で確かめた上で編集委員と会議を繰り返し、協議を進める。

「教科書の原稿やレイアウトなどをチェックしているとき、『これだと、あの子たちは理解できないだろうなあ』などと気づくことがある。そこで、理解しやすいように改善する。これは学校で授業を見せてもらっているからできること」とA編集長。

現場とつながっているからこそ、教師たちの指導を助け、子どもたちの理解を深める教科書を作成することができるというわけだ。

教科書という形にするためには、原稿の作成だけではなく、レイアウトを工夫し、図表、写真なども用意する。特に理解を助けるのに効果的な写真とするため、撮影にはアイデアと技術が必要になるという。理科の実験や観察の写真がその例だ。また、文芸作品、絵画、アニメのキャラクターなどを掲載する際には、著作権などの権利処理を適切に行わなくてはならない。教科書制作には、一般の出版物より煩瑣な作業が多く、何年もの期間を要するという。
加えて、検定教科書であり、教育の現場で使用されるものであるから、間違いのないものにしなくてはならない、というプレッシャーもある。

このような教科書制作に関係者は、どのような思いをもって臨んでいるのか。A編集長は次のように語る。

「学校に視察に行き、自分がつくった教科書を子どもたちが使っているのをみることは、たいへんな喜びである。教育は社会形成上重要なことであり、そこで役立っているということに誇りを感じる」。

教科書会社には日々、教師や子どもたちからさまざまな質問、問い合わせ意見がある。「教科書を頼りにしてくれているのが分かり、その責任感で身が引き締まる」(A編集長)という。

今後も、教科書に対する意見などをどんどん寄せてほしい、とA編集長。「子どもに寄り添った教科書づくりをしたい」と考えているからである。

関係者の誇りと責任感のもと、教科書は制作されており、だからこそ現場に役立つ価値の高い教科書が制作され、学校に届けられる。4月10日に、ぜひ教科書の意義を見直してもらいたい。

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