異才発掘プロジェクト 沢渡一登日本財団プロジェクトマネージャーに聞く

幅広い気付きや生きる力高まる

日本財団と東京大学先端科学技術研究センターが平成26年から協働で取り組んでいる「異才発掘プロジェクト~ROCKET」が、2年目を迎えている。さまざまな分野で突出した能力をもつが、現状の教育環境にはなじめない、物足りない子どもたちに、新しい学びの場を提供している。これまでの経過や子どもたちの学びの様子、今後の展望について、同財団の沢渡一登プロジェクトマネージャーに聞いた。

■才能や特技を伸ばす

このプロジェクトは、学校教育を否定するものではない。あらゆる意味でユニークな子どもたちに新たな学びとその場を提供するのが目的。これまでを振り返ると「個々の子どもの思いや学びを大事にし、つぶしていない」といえる。

それぞれの子がもつ突出した才能や特技や興味を起点に、自らの好きなことを仕事にして生きていけるように、多様な気付きや能力を伸ばす機会を確保する。

学習プログラムは、子どもの主体性や思いを最大限に重んじ、学び方の強制や教科書の使用、時間制限などを設けない。

好きなことに打ち込んで生きる力を磨くために、情報検索や考え方などの技術、自分の志向を実現するためのコミュニケーション力といった6つの視点を押さえた学びを提供している。

日本の伝統工芸を題材に、実体験しながら工法に隠された英知を探究し発見するプロジェクト学習も実施する。どれも、指導者は教えずに子どもの気付きややる気を触発する働きかけが中心になる。

一連の学習を進める中で、自分の興味や特技を起点に、さまざまな分野との関連性や能力への気付きを深める子どもたちが育っている。

■揺れ動きながらの成長を待つ

半数の子どもが、自分の突出した興味分野を入り口にしながらも、結び付くさまざまな関係に気付きや理解を深め、学びの幅と社会の捉え方を広げている様子がうかがえる。不登校だった子が学校の学びに意味を見いだし、再び通うようになったなどの状況も生まれている。

一方、半数の子どもたちは、頑なに自分の特技や興味の分野にこだわり続けていたり、既存の学校教育との狭間で揺れ動いたりしている様子もある。
ただ、私たちはどんな場合でも、子どもをこちらから変えようとはしない。学びや気付きの機会と支援を行いながら、それぞれが気付くタイミングや模索の仕方を重んじ、「辛抱強く子どもの成長を待つ」姿勢を大事する。

ここでの学びは、年限を設けず、生涯をかけて取り組んだり、抜けたりするのも自由。学習スタイルや志向が異なっても、全ての子どもたちを認める居場所であろうという点を大事にする。

さまざまな子どもの成長や姿に接し、「大切なのは、どんな子も認められ、居場所がある安心感」「子ども自身が気付きと考えを深める学びの提供」が、子どもの広い視野と生きる力を高めていると実感する。指導者が「子どもを信じて待つ意義」も感じる。

■今後の展望

これまでは、特定の分野で傑出した能力をもつ子に焦点化していたが、今後は、同プロジェクトの経験や見知を、子どもたちに広げていきたい。

例えば、学校の学習内容や友人関係に満たされない思いをもつ各地の子どもたちを全国視野で結び付け、共同で学ぶ「スペシャル・インタレスト・グループ」学習の創設を構想。ここでは、子どもだけでなく、保護者や教員にも集まってもらい、多様な学びの在り方などを考えていけるようにしたい。

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