第6回ESD大賞の実践紹介 審査委員特別賞

NPO法人日本持続発展教育(ESD)推進フォーラム主催の第6回ESD大賞受賞校(平成27年度)の受賞校実践集から、小学校賞、審査委員特別賞の実践を紹介する(要約、編集は本紙編集部)。今年度の第7回について、募集の詳細等は近く発表される。

審査委員特別賞 東京都多摩市立東愛宕中学校
グローカルな人材育成 学校を核とした地域との協働
〇6つの柱を展開

本校では従来から取り組んできた「参加体験型の活動」「地域での活動」「自然との共生」「防災・減災」「人権尊重教育」などを「人と人」「人と自然」「人と社会」のつながりやかかわりというESDの視点から整理し、クリティカル・シンキングやアウトプットを重視したESDの学習を明確にしながら、以下の6つの柱を中心としてGAPの趣旨を踏まえた教育活動として実践し、地域社会の持続可能性を高め、持続可能な社会の担い手としてグローカルな人材の育成に学校教育全体(ホールスクール)で努めている。

〇地域社会×ESD

教育活動の特色の一つとして、地域行事やボランティア活動に主体的にほぼ全校の生徒が参加することが挙げられる。地域や社会に貢献したいと考える生徒の割合も市や都の平均値を大きく上回っている。参加形態は、個人や有志によるもの・部活動によるもの・委員会によるものなどさまざまなバリエーションがある。呼び掛けの中心は主に生徒会が担うが、JRC部(Junior Red Cross:青少年赤十字)などが主体的にコーディネートしている。

〇キャリア教育×ESD

職場体験学習では、キャリア教育にESDの視点を取り入れて、起業体験や企業(会社)の自然環境保護・社会や地域への貢献・かかわりなど、給金以外の価値観での職業選びを学習することを目的としている。仕事を体験だけで終わるのではなく、働くことの意義を広い視野で考える機会となっている。また、利益追求の他に、CSRなど利益以外に何とどのように関わりをもっているのかを学び、「人と人」「人と自然」「人と社会」のつながりを通して持続可能な社会を構築する方法を学んでいる。

〇グリーンカーテン×ESD

芝生の校庭・グリーンカーテンへの取り組みを通して、省エネや温暖化防止等への意識を高めるだけでなく、ゴーヤの種を駅頭で配布して省エネを呼びかけたり、栽培したゴーヤや野菜を地域へ配布したり、エコバッグの制作および東日本大震災支援活動啓発にバッグを配布したりすることで、環境教育に留まらない地域や社会とのかかわりを深める活動に継続的に取り組んでいる。

〇防災教育×ESD

災害時は中学生が地域を支える必要がある。全生徒が個々に自分で考えたマイ備蓄と家族からの励ましメッセージなどを入れた防災自助バッグを配備した。防災・減災力を高めるために避難所となる中庭・体育館の芝生を拠点とし防災キャンプを地域自治会等と行い避難時を想定したテントでの宿泊および防災食の炊き出しを行った。東京消防庁や市役所防災課の協力を得て防災関連の映像や講話クロスロードでの学習機会を設けた。

〇Web会議×ESD

平成23年度からジャパンアートマイルのサポートを受けて、異文化理解・相互理解を深める国際理解教育の一環として、海外の学校とWeb会議を活用して協働学習を行い、学習の成果として相手とキャンバスの半分ずつに絵を描いて1枚の壁画を共同制作する「アートマイル国際交流壁画共同制作プロジェクト」(IIME)に参加している。

〇芝生校庭×ESD

芝生化した校庭を地域サークルに貸し出し、児童館の幼児やその保護者との交流、在校生同士の交流、防災キャンプでの地域住民との交流など、芝生化された校庭が地域全体の交流の拠点となり人と人をつなぎ、活気ある地域コミュニティーの中心となるのを目指している。

〇主な成果

既存の教育活動を生かした実践から、年間を通した継続的な取り組みとなり、環境問題や社会貢献に問題解決的に関わり、地域交流と防災教育など、各取り組みを相互に関連させながら生徒が主体的に実践する学校全体の活動であり、ESDに対する教師の指導力も向上している。

ユネスコスクールとしてESDの推進拠点の役割を担っている。持続不可能な課題が山積する現代社会において、教育によってさまざまな問題を実践的に解決していこうという取り組みである。少子高齢化の課題を防災や環境問題や難民問題などを視点に取り組み、2年連続してESD大賞で受賞の栄誉に浴した。

第8回ユネスコスクール全国大会(ESD研究大会)概要
▽開催日時=12月3日午前10時~午後5時
▽会場=金沢大学角間キャンパス(石川県金沢市角間町)
▽主な内容(予定)
・テーマ別交流研修会
・パネルディスカッション
・ランチョンセッション
・展示発表
※プログラム、参加申し込み方法などは順次発表。

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