【連載】ESDの魅力 その2 輝く命を未来につなぐ教育

横浜市立永田台小学校長 住田昌治

 

前回は、「持続可能性を阻害しているものを日常生活の中から考えてみよう!」という投げかけをした。持続可能性の問題は遠くにあるものではなく、身近にあるものだ。また、地球規模の課題も身近な生活の課題に変換して考えることが肝要だ。

今回は私がESDに出会った時に考え、現在に至るまでの取り組みを支えていることについてお伝えしたい。私が勤めている永田台小学校では、命をベースに、ケアをエッセンスにしてESDにチャレンジしている。持続可能性を阻害するものは、日常生活を見直すことで、いろいろあることが分かったが、その要素である環境も経済も社会も、そして文化も全ては命でつながっていると考えたからだ。

命を輝かせるために、どのように教育活動を行っていけばいいのだろうか。
そもそも、子どもは命そのもの。しかも、未来を担う大切な命。どの命も輝いてほしいと思う。しかし、生きづらいこの時代の閉塞感の中で、生きていかなければならない子どもたち。肯定できる自らの生に気付き、持続可能な社会の担い手としての自信と自尊感情、意志を培わなければならない。そのためには、大きく自分の可能性を広げ、夢と希望をもって、豊かな子ども時代を送れるように、大人がしてやらなければならない。

現在、環境、人権、国際理解、文化、自然、経済、社会…の要素がすべて総合的に含まれ、互いに関連しながら課題を複雑にしている。全ての根底に流れる命に焦点を当てることによって、総合的・関連的・実践的な学びを構築し、複雑化してる今日的な課題に立ち向かう意志と行動力を培う。

保護者や地域からの子どもたちへのあったかメッセージ
保護者や地域からの子どもたちへのあったかメッセージ

命は、全ての活動の根幹となっている。本質的な問い――命とは何か。命を大切にするとはどういうことか。多くの人やものとの出会い。自分を受け入れ、自分の力に気付く。自分ができることに気付く。違いに気付く。同じに気付く。変化に気付く。役立っていることに気付く。過去から未来へのつながり、現在生きているもの同士のつながり。全ての命はつながっていることに気付く。

永田台小学校のESDは、自分へのケア、他者へのケア、環境へのケアをエッセンスにして染み込ませる「命の教育」である。命にこだわり、学び、生きていることにさまざまな角度から切り込むアプローチである。学校全体にケアリングが溢れるようにホールスクールアプローチでESDに挑戦している。年間を通して取り組む「命の授業」をきっかけに、子どもたちの気付きを大切にしながら教育活動が進み、確実に子どもたちは変わってきた。命のつながりを意識し始めた子どもたちと教師は、今まで以上に気付きがある自分を発見し始めている。命のつながりへの気付きは、現在の複雑化している課題にも立ち向かえる「つながりに対する気付き」を培い、課題解決に向けたエネルギーを醸成する。

自分の命も人の命も差別をしない。まず、誰かに温かくしてみよう。誰かに温かくしていれば、いつか温かさが自分のところへ戻ってくる。命がつながっているように、温かさもつながっているのだ。何とかこの地球上で命のバトンタッチを続けていくことが、現代を生きているわれわれに課せられた宿命。日本の今を見た時、今こそ、しっかりバトンを握り直さなければならないのではないだろうか。

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