教育時事刻々【5月中旬~6月中旬ふりかえり】

◇5月19日付

テロや貧困解決など議論=G7教育大臣会合が5月14日、「教育におけるイノベーション~平和と繁栄、持続可能な社会の構築に向けた教育の革新」をテーマに、岡山県倉敷市内で開幕。テロ事件が頻発する中で、教育が果たす役割やAIが発達する社会で人間にしかできない能力を育成する方法などについて議論した。議長国の日本を代表して馳浩文科相は「教育は未来への先行投資」と、各国の教育大臣に向けてあいさつした。/生活困難世帯の子の健康改善に道筋=東京都足立区教委と国立成育医療研究センター研究所が、同区立小1全員を対象に、生活困難な家庭環境と子どもの健康との関連性を調査・分析した。この大規模調査は全国初。健康状態として重要と考えられるむし歯が5本以上ある子どもは、生活習慣など「変えていくことが可能な要因」との関連性が大きい傾向が見えてきた。同様の関連性は、逆境を乗り越える力との間にも見られた。

◇5月23日付

一億総活躍プラン案まとまる=「戦後最大の名目GDP600兆円」と「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」の新3本の矢の実現を掲げた一億総活躍国民会議が5月18日、ニッポン一億総活躍プラン案を取りまとめた。与党内手続きを経て、政府は今月31日に閣議決定する方針だ。教育分野では、初等教育段階でのIT人材育成や、学校復帰を目指した不登校対策やフリースクール支援などが盛り込まれた。目玉政策になると期待されていた給付型奨学金は「検討する」との文言に留まった。/茨や媛や潟など都道府県名20字を学習すべき漢字に=中教審初中教育分科会教育課程部会は文科省で5月17日、国語ワーキンググループの第7回会合を開き、学年別漢字配当表や学校図書館について議論した。小学校国語科で学習すべき漢字を増やす意向が示された。提案された漢字は、現行の「学年別漢字配当表」にない都道府県名に用いる茨や媛や潟など20字。

◇5月26日付

優れた能力伸ばす教育施策など柱に=教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大学総長)は5月20日、発達障害のある子どもの対応や特に優れた能力を伸ばす教育施策などを柱にした第九次提言をまとめた。先進的な取り組みを全国に広げるために「教育再生先導地域(仮称)」の設置を検討する。財源は来年度概算要求に盛り込む見通しだ。同日、鎌田座長が安倍晋三首相に提言を手交した。/児童館が貧困対策軸に学校と情報共有し支援=全国の児童館や放課後児童クラブを支援する(一財)児童健全育成推進財団は、今年度の健全育成セミナーを5月20日、東京都千代田区の都市センターホテルで開いた。子どもの貧困が社会問題化する中で、各地の児童館が実施する学習支援や食事提供活動の取り組みを報告。学校との情報共有で子どもを地域全体で支援する事例などが示された。

◇5月30日付

ヘイトスピーチ対策法が成立=在日外国人への差別をあおる「ヘイトスピーチ」の解消をめざす法律が5月24日午後、衆議院本会議で可決、成立した。公布日から施行される。馳浩文科相は同日午前に行われた閣議後会見で、同法案に盛り込まれている「教育の充実」に言及。「特別の教科 道徳」や社会科、国語科、外国語科など全教科で国際理解や相互理解を深めていくと強調した。/全国100カ所に居場所創設し子どもの貧困で民間機関が連携支援=日本財団は、(株)ベネッセホールディングスなどと連携し、子どもの貧困対策モデル事業として、全国100カ所に新たな「居場所づくり」を設置すると、5月23日の会見で明らかにした。居場所の運営は社会的相続の補完や地域チーム体制の支援、エビデンスによる施策検証――が特徴。11月に埼玉県戸田市に第1号拠点を作る。貧困世帯の孤立化を踏まえ、地域の実状に応じた家でも学校でもない第三の居場所を都道府県ごとに設ける。

◇6月2日付

職業特化の新高等教育機関を答申=中教審(会長・北山禎介三井住友銀行会長)は5月30日、職業教育に特化した新たな高等教育機関の創設を、馳浩文科相に答申した。専任教員の4割以上を実務家教員にするほか、社会人も受け入れる体制を整備する。企業で即戦力となる人材を育成するのがねらい。平成31年度の開設を目指し、法改正する。

◇6月6日付

教員の長時間労働是正で自民党が中間まとめを文科相に=教員の長時間労働改善に向け、自民党の「教員の長時間労働の是正に関する議員連盟」が提言に向けた中間取りまとめを行った。同議連の塩谷立会長らが5月31日に文科省を訪れ、馳浩文科相にこれを手渡し、報告した。/小学校低学年から古典にふれる=中教審初中教育分科会教育課程部会は文科省で5月31日、国語ワーキンググループの第8回会合を開いた。育成すべき資質・能力や教育内容の見直しなどについて議論。教育内容に小学校低学年から古典にふれるとの内容が追加された点に対し、藤森裕治信州大学学術研究院教育学系教授は「児童が古典を楽しめるような遊びの視点も必要」と述べた。

◇6月13日付

初任者が10年間で約1.5倍に=文科省の「初任者研修実施状況調査」によると、平成26年度に公立の小・中・高校などに配属された採用1年目の初任者研修対象者は2万8512人(対前年度151人増)だった。平成16年度の1万9039人から10年間で約1.5倍に増えていた。団塊世代の大量退職を補う新採用の大幅増が理由とされている。/日本の高校生は安全意識高いが消極的=国立青少年教育振興機構は6月7日、文科省で「高校生の安全に関する意識調査―日本・米国・中国・韓国の比較―」の結果報告を行った。日本の高校生は安全や危険回避への意識が高い一方、野外活動への参加度が低く、行動力が弱いとの結果が明らかになった。日米中韓4カ国の高校生の安全に関する意識調査を行ったのは、これが初めて。同機構青少年教育研究センターの明石要一センター長は「日本の高校生の内向きの生活が影響しているのではないか」との見解を示した。

◇6月16日付

ネットで性的搾取のリスク認識=ユニセフ調査によると、世界の18歳の8割が、子どもはインターネットを通じて性的搾取のリスクにさらされていると認識。友達がネット上でリスクのある行動を取っていると考えているのは5割。ネット上で危険な目に遭遇した場合に教師に相談する率は1割に満たない、状況が明らかに。調査に日本は含まれていないが、わが国の状況はどうかについて、中学生や高校生が自分たちの問題として生徒会活動などで調査してみるのも、ネットリテラシーを学ぶのに、よい機会となるかもしれない。

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