【連載】ESDの魅力 その4 全ては子どもたちの未来のために

横浜市立永田台小学校長 住田昌治

教師同士も参加型WSでESD研修
教師同士も参加型WSでESD研修


 

「全ての子どもたちが、持続可能な社会について考えを深めながら、社会の担い手として生き生きと活躍できるよう、オール横浜で横浜の子どもを育みます」

これは、昨年策定された横浜市教育大綱重点方針前文で述べられている言葉だ。この言葉には林文子市長の考えが強く表れており、横浜市が本気でESDに取り組んでいくきっかけになっている。

これまで地道にこつこつ続けてきたESDだったが、今年度から横浜市では「横浜市ESD推進コンソーシアム」を立ち上げ、ESDの推進を図っている。この横浜市のコンソーシアムは、文科省「グローバル人材の育成に向けたESDの推進事業」のコンソーシアムとして、今年度から採択された。ESDへの認知度が全くなかった数年前の横浜では考えられないことだ。先駆的に取り組んできた私にとって、この上ない喜びの年となっている。

実際にESDコンソーシアムが立ち上がってESD推進校も公募で決まり、研修会も開催されるようになってきた。また、ESD推進校に限らず、希望者が参加できる研修会も開催されている。横浜市4方面別で開催されている授業づくり講座にもESDが加えられ、時間外にもかかわらず、それぞれ30人を超す参加者があった。また、ある区の副校長・主幹教諭研修は「ESDって何?」というテーマに誘われてか、夏休み前半の研修で70人を超える参加者となった。

学校現場においてもESDへの関心が高まっているのは、嬉しいことだ。研修の中で、若い教師が「ESDって当たり前のことですね」と話しかけてきた。「その通り。ESDは特別な取り組みではない。今やっていることを持続可能性の視点で見直し、再方向付けすること」と話した。

ただ、当たり前だと言って無意識にやるのではなく、当たり前のことを意識しながらやることが肝要だ。特に持続可能性のエッセンスを各学校で考え、それを意識するところから始めたい。また、「どうして子どもの教育に教員の元気や学校マネジメントが関係あるのか。教師と生徒は別だし、教育と生活は別のことだ。つなげる意味が分からない」と話す主幹教諭もいた。疑問や意見は議論が生まれるのでありがたい。

教師や学校の変容が求められるのは、子どもにとって最も重要な教育環境だからだ。多くの教師の変容が見られる学校は、教師が安心してチャレンジができ、失敗から学ぶ雰囲気をもっている。そのためには、ケアリングがあふれているのが前提だ。そうではないところは、形にこだわり、疲弊し、好循環がうまれない。

ESDは、変容であり、元気づけであり、つながりに気付くことだ。意識して取り組み、新たな見方で再方向付けしていくところに意味がある。

学校においては、子どもの変容がメーン。そのために、教師はどうするかを考える。指導して変容させようというのは、旧態依然とした考え方だ。教師自身が変容することによって、気づき・感じ取る・理解し行動するよう働きかけ、支えるのがESD。変容はさせるものではない。変容はつながるという教育観への転換が、日本の教育を変える原動力になる。

ESDは、教育を変える原動力であり、教育の最終目標でもある。知識・技能・問題解決力の習得に留まらず、価値・行動・ライフスタイルの変容をもたらす。自己変容は、他者変容、社会変容へと波及するという魅力を秘めている。

ESDへのチャレンジは、持続可能な未来への変化の担い手を育むことである。ESDチャレンジの段階・指標は「もみじアプローチ」で、授業レベル、学校レベルでイメージし、各校の実態に応じて、カリキャラム・キャンパス・コミュニティー作りをする。

次回からは、ESDの実践を価値・行動・ライフスタイルの変容にまで高めるホールスクールアプローチ「もみじアプローチ」についてまとめていきたいと思う。

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