深く静かに自分を生きるヒント 映画「シーモアさんと、大人のための人生入門」

「Seymour: An Introduction」(C)2015 Risk Love LLC
「Seymour: An Introduction」(C)2015 Risk Love LLC

10月1日から全国公開

50歳でコンサート・ピアニストとしての活動に終止符を打ったシーモア・バーンスタイン。以後、ピアノ教師として教育に心血を注ぐ。その89歳の生き様と言葉が、ドキュメンタリー映像を通して、深く静かに自分を生きていくヒントを語りかけてくる。

コンサート・ピアニストとして、演奏会前には極度の不安や恐怖を経験した。

朝鮮戦争従軍中のつらい記憶にも苦しめ続けられている。それらの人生の痛みは教育への情熱に昇華され、教え子に勇気と希望と生きる力を与える。与えるといっても、いかにもそれを、力を入れて示すのではない。ときにピアノの音色に乗せて、ときに示唆に富む言葉に乗せて、ときにほほえみをたたえたまなざしに乗せて。

「教師は自分の力を生徒に注ぐのが無上の喜び」「自分の心と向き合い、シンプルに生きる」「成功したい気持ちを手放すと、人生は充実する」——。

シーモア・バーンスタインに出会った人たちは、たちまち安心感に包まれる。人生を積み重ねてきた老ピアノ教師の言葉は、どれも哲学と美に満ちている。姿は老いていても、目の光は、決して老いてはいない。

師と教え子との対話からは、ピアノ教師としての考え方や方法論についても学べる。

教育や子供の成長に関わる者が受け取るメッセージは実に多い。

イーサン・ホーク監督作品。監督自身が、表現者として、1人の人間として行き詰まりを感じていたときにシーモア・バーンスタインに出会った。その姿も映っている。

10月1日、東京・シネスイッチ銀座、渋谷アップリンクほか全国で順次ロードショー。

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