地域ならではの本物体験は何? 総合教育会議で探る

横浜市は、市長部局と教委が協働し、市内の教育について話し合う今年度の総合教育会議を9月2日、同市の関内新井ホールで開いた。横浜ならではの資産を生かした教育機会の創出を軸に、子供たちへの多様な本物体験の提供について意見を交わした。

冒頭、林文子市長は、「ICTの利活用が進展する中で、いまの子供たちは情報機器を通してさまざまな知識を得て、学べる状況がある。しかし、実際に人や物にふれ、理解を深めていく体験は大変重要」と指摘。情緒豊かな人を育てるため、市で体験教育の充実をさらに進めたいと抱負を語った。

今後の体験教育のあり方について、岡田優子教育長や教育委員がそれぞれの考えを示した。

同教育長は、自然体験の機会が多い子は自己肯定感や道徳観、正義感が高くなるとの国立青少年教育振興機構の調査結果などを説明。学校や地域での自然体験機会の一層の充実とそのための予算投入を要望した。

今田忠彦委員は、市内の知られざる歴史遺産に注目し、その意義や関わった人の心意気を深く学べる機会の創出などを提案。明治の岩倉使節団が横浜港から旅立った点に着目し、出港記念地に、学びに生かせる記念碑を設けて学習を促すなどのアイデアを出した。

間野義之委員は、リオデジャネイロ五輪の日本代表選手で同市とゆかりのあるメダリストが8人もいる点を説明。このようなアスリートたちに、教育への参画をもっと深めてもらい、子供たちに、オリンピックが重んじるスポーツを通じた友好や相互理解などの意義を学べる機会を増やしてはと話した。

西川温子委員は、子供たちに豊かな感性や心を育んでいくためには、本物の音楽や舞台芸術にふれる教育が必要であると強調した。市内に総合芸術専門のホールがなく、子供たちが表現活動を磨き、披露する場が少ない点などを課題として挙げた。

長島由佳委員は、地域で異年齢交流を深める場や機会の充実を訴えた。子供に良い気づきや影響を与えるためには、大人が人間力や感性を高める必要があるとして、大人同士が交流し、情報発信をする場の整備と充実について話した。

宮内孝久委員は、市ならではの体験活動の視点として「多様性の尊重」を提言。これをムーブメントとして市内に広げる教育の一例として、各学校で取り組む「Yステップダンス」を提案した。体育科でも取り組まれているダンスを生かし、学校ごとに独自のステップ開発を実施。違いの意義や良さを考える機会になればと述べた。

それぞれの意見を聞いた同市長は、子供の健全育成のためには、文化、芸術、スポーツの体験活動を充実させていく必要があると強調。必要な予算措置も行いたいと、熱意を込めて語った。

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