【連載】口から語る健康 第43回 全国値と地域値の比較を

日本大学歯学部医療人間科学教室教授(歯学博士) 尾﨑哲則

 

児童生徒の口の健康状態は、日本全体ではどのように調査がされているのでしょうか。よく用いられるのが、学校保健統計調査です。これは、国が学校における幼児児童生徒の発育と健康の状態を明らかにするのを目的に、昭和23年以降に実施しています。

調査の根拠法令は、統計法です。対象となるには、幼稚園、小学校、中学校、高校、中等教育学校のうち、文部科学大臣があらかじめ指定する学校に在籍する幼児児童生徒のデータです。

ですから、全国値といっていますが、全数での値ではなく、標本値です。標本抽出の方法は、発育状態調査が層化二段無作為抽出法、健康状態調査が層化集落抽出法です。

標本抽出は、次の(1)から(3)までの方法で行われています。

(1)各都道府県の児童生徒数と学校数に応じて調査実施校数を学校種別に決定します。

(2)次の1から3の方法で調査実施校を決定します。1〓都道府県別、学校種別に児童生徒数に応じて学校を層化します。2〓当該都道府県の調査実施校数を層数で割り、1層当たりの割当学校数を求めます。3〓各層内で、調査実施校を単純無作為抽出します。

(3)発育状態調査は、年齢別、男女別に系統抽出法により対象児童等を抽出しますが、健康状態調査については調査実施校の在学者全員を対象としています。抽出率は、発育状態で5.0%、健康状態で24.2%です。毎年行われる学校保健安全法による健康診断の結果を、各学校から提出される形で実施しています。

各県別の値が、平成18年以降、国から公表されるようになりました。この値を各県の学校保健統計の値にしています。しかし、標本抽出値を使わずに、公立学校の全数調査を公表している県や地域別の値を示している県もあります。東京都では、区市町村別の値まで整理して、「学校保健統計書」として公表しています。

さて、もうひとつは、歯科疾患実態調査です。この調査は、わが国の歯科保健状況を把握し、「8020運動」(歯科保健推進事業等)の種々の対策の効果についての検討や、21世紀の国民健康づくり運動「健康日本21」で設定した目標の達成度等の判定を行い、今後の歯科保健医療対策の推進に必要な基礎資料を得るのを目的としています。各県の値はありませんが、大都市、あるいは町村といった区分での値があり、そういった面では重要です。児童生徒の標本数が少ないのが難点です。

このような統計に、私が関心を持っている大きな理由は、日本学校保健会の事業で、全国の小学校を回っているからです。その際に、基本資料のひとつとして、出発前に頭に入れておくデータとしています。

児童生徒の健康を考えるのなら、一度、自分たちの地域の値と全国値との比較を勧めます。

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