高校生が若手イノベーターと討論 サイエンスアゴラ2016で

イノベーターの経験談に聞き入る高校生たち
イノベーターの経験談に聞き入る高校生たち

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が主催する科学イベント「サイエンスアゴラ2016」が11月3日から6日まで、東京・お台場地域で開催された。中高生や教育関係者を主な対象とした5日のトークセッション「Road to INNOVATION」には、JSTの人材育成支援事業「グローバルサイエンスキャンパス(GSC)」の受講生を代表して高校生3人が登壇し、若手起業家や研究者と議論した。

GSCは、JSTが全国の大学と連携して平成26年度から行っている事業。各大学が高校生等を対象に高度な理数教育プログラムを開講し、国際的に活躍できる科学技術系人材の育成を目指す。今年度は事業採択を受けた全国15大学がプログラムを実施。高校生約1200人が大学教員らの指導を受けながら研究活動を行っている。9月には全国の受講生代表による研究発表会が開かれ、優秀賞を選定した。

トークセッションには優秀賞受賞者のうち、田渕宏太朗さん(筑波大学プログラム受講生、愛知・南山高校2年)、山下龍之介さん(大阪大学プログラム受講生、京都府立洛北高校2年)、安田紗菜さん(京都大学プログラム受講生、東京都立戸山高校2年)が参加。田渕さんが「ファンプロペラの効率アップ」、山下さんが「水の密度の温度依存性と対流」、安田さんが「砂柱の崩壊シミュレーション」について、研究の経緯と成果を発表した。

田渕さんは、異なる表面加工を施した約250種のプロペラで実験。形状が同じでも表面加工を変えると効率アップするのを確かめた。今後については「自動車の冷却ファンや航空機エンジンなど、あらゆるプロペラに応用可能な表面加工を探っていきたい」と話した。

この後、(一社)i.clubの小川悠代表理事の進行で、起業家や研究者など若手イノベーターと意見交換した。

イノベーションを起こす人に求められる力について田渕さんは、「身近なものへの好奇心や想像力が大事。なぜと感じる気持ちがイノベーションのきっかけ」と話した。

山下さんも想像力を挙げ、「手塚治虫やライト兄弟は想像力を具現化したのがすごい。想像に加えて世に出す能力も重要」と強調した。安田さんは、「現実をしっかり見るのが大切。いま何が分かっていないのかを把握し、問題を発見する力が求められる」と語った。

将来像については「夢は宇宙飛行士。それを目指して航空力学やロケット工学など多くの分野を学びたい。GSCでの研究成果を世の中に広めたいという考えもある」(田渕さん)、「GSCを受講して現実に結びつく研究の面白さを感じた。大学では土木系に進んで知識を蓄え、世の中の役に立つ仕事をしたい」(安田さん)などと述べた。

セッションを通じて「若さも大きな強みと感じた」という山下さんは「若さゆえの無鉄砲さや大胆さも大切にしながら、自分だけにしかできないことを探していきたい」と語った。

イノベーターたちは高校生らに、「職種や国籍など既存の枠組みを超えて活躍できる人になってほしい」などと期待や励ましの言葉を贈った。小川さんは「若者とイノベーターが刺激し合うことがイノベーションにつながる。互いに高め合える場が、今後さらに増えていくのを期待したい」とまとめた。

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