【連載】口から語る健康 第45回 歯科疾患の実態と子供の現状

日本大学歯学部医療人間科学教室教授 歯学博士 尾﨑哲則

 

日頃、さまざまなところで使われている「歯科」に関する数値の多くは、歯科疾患実態調査という厚生労働省が行っている調査によるものです。この調査が今年11月に全国で行われています。昭和32年以降、6年ごとに行われてきましたが、平成25年度から10年間実施されている国民の健康増進を図る「健康日本21(第2次)」の評価と合わせるために、今回から5年ごとになりました。

調査対象となった地区に居住する1歳以上の全ての人に依頼し、歯科医師が口腔内の診査をして、まとめたものです。しかし、昼間に調査される場合が多いために、40歳以下が少ないのが難点です。逆に、65歳以上の高齢者が多く、健康な高齢者のデータが多い特性があります。

この値をもとに「8020者達成率」などの評価をしています。

さて、小児期のデータに目を向けると、残念ながら調査人数が少なくいものの、分析方法がかなり専門的で、通常の歯科検診では出てこないようなデータがみられ、地域保健を専門としている研究者には、いろいろ有用なものです。

具体的には、どの歯がう蝕になっているか、治療されている場合は、詰め物なのか冠なのか。あるいは他の調査ではあまり見られない歯肉の状況を把握することができます。

一方、日本全体や都道府県全体のう蝕罹患の様子は幼児ならば1歳6カ月児健康診断や3歳児健康診断の集計データから見ることができます。また児童生徒については定期の健康診断を取りまとめた「学校保健統計調査」から県単位のデータを見ることができます。都道府県によっては、上記のデータを自治体あるいは地区ごとのデータを公表している場合もあり、地域の状況を知ることができます。

さて、今年度の歯科疾患実態調査は、全国150地域を対象に行われています。私も都内のある地区の調査をさせていただきました。これらは調査用紙そのものが、各保健所から都道府県を通じて厚生労働省に送られます。これが、学校保健や乳幼児の健診結果の取りまとめ票を送付するものとは大きく異なります。そのため、前記のように集計の特徴が出てきます。

今年の調査票は、年度内には集計に付され、来年の6月4日ごろには、厚生労働省から概要が公表されると考えられます。私も、以前はこの集計取りまとめ作業もさせていただき、いろいろと地域歯科保健について勉強させていただきました。この結果を見て、この5年間の歯科保健状況の改善の評価がさまざまな方向から行われ、今後の歯科保健の方向が示されると考えています。

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