教育時事刻々【10月中旬〜11月中旬ふりかえり】

◇10月20日付

いじめの情報共有を義務付け=いじめ防止対策協議会の平成28年度第5回会合が10月12日、文科省で開催された。事務局は「いじめ防止対策推進法の施行状況に関する議論のとりまとめ」の素案を提示。委員らは、いじめの認知や対処などについて意見を出した。この中で、いじめの情報共有は法律に基づく義務であるから、公教育の教職員が対応を怠った場合には、地方公務員法上の懲戒処分となりうるとされた。これに対して委員からは「現場が萎縮する」との意見があった。

旧姓使用で女性教諭敗訴=都内の私立学校に勤める30代の女性教諭が、職場で結婚前の旧姓の使用を求めた訴訟判決で、東京地裁は10月11日、請求を棄却した。これについて松野博一文科相は10月14日の閣議後会見で、個別の事案に関してはコメントを差し控えたいとしながらも、女性の社会での活躍を推進する上で、旧姓使用は「重要だ」と強調した。

◇10月24日付

教員の養・採・研一体改革関連法案が閣議決定=教員の養成・採用・研修の一体的な制度改革を行う関連法案が閣議決定されたと、松野博一文科相が10月18日の会見で明らかにした。近く国会に提出される見込み。会見で松野文科相は関連法案について、「次期学習指要領に合わせて、教員が必要な資質・能力を身に付けてもらうため、教員研修や養成などに向けて法律を改正する」と説明した。

教員の情報管理意識に課題=デジタル教科書教材協議会(DiTT)は、研究者、自治体、教委、企業関係者が集い、教育情報化とセキュリティについて話し合うシンポジウムを10月17日、慶應義塾大学で開いた。文科省教育情報セキュリティ対策委員の藤村裕一鳴門教育大学大学院准教授が基調講演。子供の学習記録への対策、教員の情報管理や取り扱い意識などの課題を話した。協議では「ガイドラインの策定と教育現場の運用リテラシー向上を両立する必要性」などが示された。

◇10月31日付

いじめ認知件数が過去最高に=文科省は10月27日、平成27年度児童生徒問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査結果(速報値)を公表した。いじめの認知件数は22万件半ばで、昭和60年からの調査以来、過去最高を記録した。ただ、地域差は約26倍で、昨年度に比べ減じたが、いまだに開きは大きい。暴力行為は昨年度同様に小学校低学年で増加していた。

「薬物使用は個人の自由」が増加=関西四大学(関西・関西学院・同志社・立命館)は、1年次学生を対象に「薬物に関する意識調査」を合同で実施。このほどその結果を公表した。約6割の学生が、薬物に関する相談窓口について「知らない」と回答。薬物の使用については「個人の自由」とする学生が増えて約1500人に上った。使用による危険性と相談窓口の周知が課題として浮き彫りとなった。

◇11月3日付

大川小訴訟判決で宮城県と石巻市に14億円賠償命令=東日本大震災の津波で、児童74人と教職員10人が死亡・行方不明になった宮城県石巻市立大川小学校の児童23人の19遺族が、市と県に23億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁(高宮健二裁判長)は10月26日、学校の責任を認め、約14億を支払うよう市と県に命じた。大規模自然災害の中で発生した学校管理下でのこうした被害事案をめぐる司法判断は初めて。今後の防災教育の重要性が改めて求められそうだ。

仙台中1いじめ自殺で遺族が要望書=仙台市立館中学校1年生の男子生徒(当時12)が平成26年9月に自殺し、背景に継続的ないじめと学校の対応の不備があったとされている問題で、生徒の遺族(父親)は10月27日、文科省に要望書を提出した。

◇11月10日付

教育23団体が定数の改善求めアピール文=教職員定数の改善を求め、全連小、全日中、全高長などの教育関係23団体が11月1日、都内で全国集会を開いた。「『教職員の資質の向上と数の充実』が不可欠」「きめ細かな教育を実現」などとするアピール文が採択された。集会には、松野博一文科相をはじめ国会議員、教職員ら約400人が参加した。

大川小訴訟で宮城県も控訴へ=東日本大震災津波被害での宮城県石巻市立大川小学校を巡る訴訟で、仙台地裁が学校の責任を認め、約14億円を支払うよう市と県に命じた判決に対し、同県の村井嘉浩知事は10月31日の定例会見で、「一方的に、その場にいた教員を断罪するのは納得できない」と述べ、知事専決で控訴する方針を示した。石巻市は10月30日の臨時市議会で、控訴の承認案を可決。同知事は「学校設置者である石巻市の判断を尊重し、県の対応を判断した」と話した。

◇11月14日付

財務省の教員削減案に文科省反論=文科省は11月8日、財務省の教職員定数を10年間で約4万9千人減らす案について、反論する見解をまとめた。特別支援教育や日本語指導が必要な児童生徒の増加など多様な課題に対応するために、約1万5千人の減少に留めていく方針を改めて示した。義家弘介文科副大臣は財務省の姿勢に対して、憤りをあらわにした。

財務省削減案に文科相が語気強く批判=教職員定数を10年間で約4.9万人削減する財務省の案について、松野博一文科相は11月8日の閣議後会見で「教育現場を十分に理解していない」と強く批判した。文科省として反論する見解を示すとの意向を示した。会見で松野文科相は、財務省の案に「発達障害などを伴う児童生徒の増加や、外国人児童生徒の増加などが加味されていない」と、文科省の認識とのずれを指摘した。財務省は「機械的に削減している」とし、「政府の教育再生の動きに反するものだ」と語気を強めた。

青森中2自殺の遺族がいじめ対策求め要望書=今年8月に、いじめを苦に自殺した青森市立浪岡中学校2年生の葛西りまさん(13)の父・剛さん(38)らが11月4日、いじめ防止対策推進法の見直しに向けた要望書を文科省に提出した。剛さんは会見で、遺族への情報共有を訴えたほか、学校の対応についても批判した。

がん教育推進議連が設立総会=がん教育を充実させるために、自民、公明の超党派でつくる「がん教育推進議員連盟」の設立総会が11月8日、国会で開かれた。一生の間にがんと診断される日本人の割合は2人に1人といわれている中で、小・中・高校などで指導を進め、正しい知識を身に付けさせたい考えだ。文科省は来年度から、全国でがん教育を展開する予定でいる。

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