東書教育賞最優秀賞 山形県の淀野秀樹校長 広島県の新谷陽子教諭

受賞した皆さん
受賞した皆さん

教育現場の優れた教育実践論文を表彰する第32回東書教育賞(共催・東京書籍(株)、(公財)中央教育研究所)の贈呈式が2月5日、東京都北区の東京書籍(株)本社ビルで行われた。同社の千石雅仁社長から受賞者に賞状と賞金が手渡された。

「未来を担う子どもと共に歩む確かな教育実践」をテーマに、小・中学校教員と教育関係者から124編の応募があった。その中から最優秀賞2編、優秀賞6編、奨励賞5編が選ばれた。

小学校部門の最優秀賞は淀野秀樹山形県南陽市立梨郷小学校校長による「これからの地方創成の一考察~平成27年度浦戸諸島訪問活動から~」。中学校部門は新谷陽子広島県福山市立培遠中学校教諭による「古典に親しむ生徒を育てる学習指導の実践」。

淀野校長は、農業復興に向けた挑戦を続けている地域の中で、「地域総合型教育」を導入し、地域振興と教育振興を共に目指す「社会参画活動」を展開。その中で「子どものうぎょうせいさんほうじん のびのびファーム」という会社組織を模した食農・食育実践学習チームを組織し、活動している。その具体的な活動の一つとして、梨郷産の「山形白菜」のルーツを宮城県塩竃市浦戸諸島に求め、浦戸諸島で種をもらい、梨郷地区で植栽、大きく育て、出来上がった白菜を瀬戸諸島に届ける活動を行った。「笑顔にするには、身近な人に笑顔でいてほしい」。そんな思いが伝わる好事例である。

新谷教諭は「古典はまず音から」と考え、毎月、指定した古典作品をグループで暗唱、音読させる学習に取り組ませ、言葉の響きやリズムを体感させ、古典を耳から楽しむ学習を浸透させた。この活動は、学級対抗群読大会に発展し、学年群読にまで発展した。「調べ学習」「意見交流会」では、グループで古典作品の内容を調べさせ、意見を交流し、その時代の人の感性と現代人の感性を比較させるなど、古典を身近なものとして体感させる学習を展開した。

審査委員長の谷川彰英筑波大学名誉教授は「アクティブ・ラーニングやカリキュラム・マネジメントなど新しい実践が出ているが、それらは、これまでの教師たちの教育実践の積み重ねから生まれてきているものである。教育実践を支えるのは教師の子供観、子供をどうみるかが根本にあるのを忘れないでほしい」と述べた。

淀野校長は「教育とは地道な取り組みの繰り返しである。しかし、教師だけでは、必要な場づくりはむずかしい。子供たちの夢がしっかり生まれる環境を育てるのが大切だ。だからこそ、多くの人に理解してもらえる教育実践を推進していきたい」。

新谷教諭は「在外教育施設派遣教員の経験から、国語教育を通じて日本の文化、言語文化を継承していく人材育成の必要を認識した。実践してきたことをまとめ直し、これからの自分の指導の道筋を立てられる。グローバル化が求められている社会であるからこそ、古典から学ぶことには大きな意味があると思った。特別なことではなく、誰でも実践できることを心掛けた。私の実践を意味あるものにしてくれたのは教え子」と、それぞれの思いを語った。

優秀賞以上の論文概要は小・中学校別に論文集としてまとめられ、後日、全国の学校・教育機関などに配布される。

問い合わせは(公財)中央教育研究所内「東書教育賞」審査事務局=〒114―0004東京都北区堀船2―17―1/℡03(5390)7488。

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