互いの良さを認める空間作り 前向きに生きる生徒を育成

成長実感のある道徳の授業を
愛知県碧南市立新川中学校

「語り」による教材提示
「語り」による教材提示

愛知県碧南市立新川中学校(角谷竹虎校長、生徒数437人)は自他の良さを認め合える空間づくりに力を入れた実践で、生徒の自信を育てることに成果を上げている。加藤誠教務主任に取り組みのポイントをまとめてもらった。

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本校の生徒は、与えられた課題に進んで取り組むことはできるが、友達の良さに気付いたり自分に自信が持てなかったりする。これに対して、認め合う活動を取り入れた成長実感のある道徳の授業を行うことで、生徒が互いの良さを認め合い、自分に自信を持つようになると考えた。そこで、「互いの良さを認め、前向きに生きようとする生徒の育成」を主題に、研究を進めてきた。

▼授業の実際

授業で大切にしたのは、「聴く」「伝える」「学ぶ」という姿勢である。聴くとは、表情や言葉から相手の心を予想したり、自らを問いただしたりして「聴く」こと。伝えるとは、自分に問い、自分に答えるつもりで言葉にすること。学ぶとは、自分の考えとは違う異質感から学ぶために質問することとした。

この姿勢を育てるために「心の色」を問う導入を取り入れた。中心発問やねらいにつながる内容を色として想像することで、自分の考えを持って授業に入ることができた。想像した色を発表し合い、気になる色の理由を聴き、相手から自分にはない考えをもらうことは、短時間で学び合う空間をつくり、道徳で大切にしている基本姿勢を身に付けることができた。

教材提示には、教師の「語り」による手法を取り入れた。教材からキーワードとなる言葉を抜粋して短冊を作り、教師がその短冊を貼りながら、教材を語りかけるよう提示した。これにより生徒の視線が教師に集まり、学級全体に一体感や臨場感が生まれた。生徒はイメージを膨らませ、自然に教材の世界へ入り込んでいくことができた。

授業の展開は、話し合いの時間確保のため、中心発問のみで行った。生徒からは多様な考えが出され、どうしてそう考えるのかを理解しようと聴き合うことで、互いの意見から学び、自分の考えを深められた。話し合いが停滞した場合は、中心発問の重層化で生徒の心を掘り起こし、自分の考えを深めさせていくことも行った。

▼授業の振り返り

授業の終末には、授業を通して感じたことを伝え合い、「聴けてよかった」「伝えてよかった」「学べてよかった」ということを実感する時間を設定した。

自然と共感の拍手や感激の拍手が起こり、他人の良さを認め、自分の良さを認めてもらうことで、「もっと聴きたい」「もっと伝えたい」「もっと学びたい」という意欲にもつながった。級友や教材から学んだことは、振り返りカードにまとめさせ、各自の道徳ファイルにつづらせた。一年の最後に読み返す「リビューイング」を行い、自身の成長を実感させた。

▼成果と課題

自他の良さを認め合える空間づくりに力を入れたこと、中心発問のみの展開で話し合ったことは、多くの生徒が自分の考えを示し、発言に自信が持てるようになった。このことは、他の教科にも波及し、前向きに取り組める学級が増えた。今後は「特別の教科 道徳」の実施に向け、道徳的価値についての深まりや多面的・多角的な見方についての評価について研究を進めていきたい。

(文責・加藤誠教務主任)

本校/℡0566(41)0997。Eメール=shinkawa-jhs@hekinan.ed.jp