年頭所感 2019(4)

子供の学びを支える「かかわり」を
全日本私立幼稚園連合会会長 香川 敬

幼児教育無償化が10月から実施されます。認可施設として公的責任が問われ、幼児教育の質の向上への期待と要請が高まることは必至です。学校評価とその見える化は、避けて通れません。

それだけに、より良い幼児教育の実現には、各園ならではの教育課程の編成と実施が課題となります。教育課程を具現化していくとき、子供の学びを支え、見守る私たちが心に留めておきたいことがあります。

子供の発達と教育に関する研究では、子供が「背伸び」する場を設定していく「かかわり」が発達を促し、学びの可能性を拡大させると言われています。

周囲の大人の援助・応答による支えや複数の視点を手にすることで、さらに大きく育つことができるのです。

子供たちが将来迎える世界は、多くの課題や混沌(こんとん)とした状況を抱えているかもしれません。その中で創造力の豊かさと力強さを発揮して生きていけるよう、子供の学びを見守りたいと考えます。

先生方の「かかわり」そのものを子供が成長していく環境の一つとして捉え、「かかわり」の中に喜びを見いだす姿勢を持ちたいものです。


児童生徒が触れて実感する教材を全教室に
日本教材備品協会会長 大久保 昇

新年あけましておめでとうございます。

昨年は新学習指導要領の移行措置が開始されました。本年は、子供たち一人一人の「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指し、準備に向けての活動が本格化してまいります。

「主体的・対話的で深い学び」のためには、観察や実験、体験、疑似体験などを通じ、児童生徒が考えることがこれまで以上に本当に大切になることでしょう。そして教材教具は、児童生徒を触発する教室の中の道具として、ますます重要なものになります。

しかしながら、自治体により学校の教材整備の整備状況に大きな格差が生じているのが実情であります。毎年800億円が地方交付金の形で財政措置されているにもかかわらず、具体的な実施は各自治体で差があるからです。

当協会では、優れた教材の開発・普及を図るとともに、確実な整備促進のため、自治体、教育委員会、各学校に向けた提言や推進を、本年も積極的に進めてまいります。


私立大学を基幹とする高等教育政策を
日本私立大学協会会長 大沼 淳

謹んで、新春のご挨拶を申し上げます。

さて、昨年11月に中央教育審議会から「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」の答申が出されました。この答申では私学振興政策に関して「ガバナンス改革」や「大学の連携・統合」などに触れてはいるものの、私立大学の実情に即した課題については、今後検討されることを期待します。

わが国の新たな高等教育政策の将来構想の骨格が示されたわけですが、多様化する社会を迎え、建学の精神に基づく多彩な教育・研究の取り組みについて留意し、私立大学を基幹とする高等教育政策を実現すべきであるといえます。今こそ国私間における不合理な公財政支出の格差を是正し、公正な競争環境を実現する必要があるのではないでしょうか。成熟社会としてのわが国における私立大学の果たす役割の重要性に鑑み、それが都市と地方の調和ある発展につながっていくと確信しております。


次代の教育改革のため全国の事務長と共に前進
全国公立学校事務長会会長 脇田 祐光

謹んで新春のおよろこびを申し上げます。

平成から次代へと変わりゆく本年、本会は熱意あふれる調査・研究を通して「主体的・対話的で深い学び」を具現化する新学習指導要領の本格実施、カリキュラム・マネジメントなどの諸課題や高大接続改革、学校における働き方改革など、学校現場が直面する喫緊の問題に全力で取り組み、教育の発展に寄与する活動を展開してまいりたいと思っております。

5月1日の新天皇の即位・改元、10月1日の消費税率引き上げなど、職務に関連してより多忙になることが予想されますが、多忙の中にこそ日々の充実を求めていきたいと思っています。また、全国組織として一致団結し、全国の事務長の皆さんと共に清新な息吹で事務長の職責を果たし、前進することを強く決意しております。

最後になりますが本年も、本会へのご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げ、新年のご挨拶といたします。


栄養障害の二重負荷と日本の貢献
日本栄養士会代表理事会長 中村 丁次

発展途上国から先進国への移行期に、どの国も直面する課題があります。富裕層には過剰栄養による肥満や糖尿病などの生活習慣病が増加し、一方で貧困による低栄養の状態も残るという問題です。過剰栄養と低栄養の問題が混在するこの状態を「栄養障害の二重負荷」といい、アジアやアフリカ諸国は、まさにその渦中にあります。

実は、この問題を解決したのが日本です。戦後の食糧不足には、学校給食が子供たちを栄養失調から解放しました。高度経済成長後にはメタボ対策に取り組み、「栄養教諭制度」が始まり、「食育基本法」が制定されました。近年、肥満の増加が抑制され、糖尿病の境界領域の人たちが減少し始めています。成功のカギは、健康づくりを担う専門職の養成でした。この経験を生かして、アジア、アフリカの人々の健康づくりにも貢献できればと考えています。


食育を担う栄養教諭として
全国学校栄養士協議会会長 長島 美保子

謹んで新年のお喜びを申し上げます。

新学習指導要領の教育課程における食育は、関連教科・特別活動など学校教育活動全体を通して行うよう、具体的な内容で示されています。現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力として、「健康・安全・食に関する力」があげられており、予測不能な世の中をしなやかに生き抜くためには、何よりも食が大切であると考えます。朝食欠食や偏った栄養摂取に起因する健康課題、食品ロスや食文化などの社会的課題にも、しっかり対応していくことが求められています。

食育を通して、児童生徒が食を自己管理することの大切さに気付き、よりよい食生活を実践しようとするスキルを身に付けることができるよう、栄養教諭は専門性に基づく資質を磨き、しっかり職務を推進していく年にしたいと思います。


国民・患者のニーズに応える
日本薬剤師会会長 山本 信夫

あけましておめでとうございます。皆様におかれましては、お健やかに新年をお迎えのこととおよろこび申し上げます。

少子高齢化の加速を背景に、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年を見据えた社会保障改革への取り組みが始まろうとしています。薬剤師・薬局には、対物中心の業務から対人中心の業務に転換するとともに、医薬品や衛生材料などの供給拠点として機能し地域医療提供体制に貢献することが求められています。

改正から5年目となった医薬品医療機器等法は、薬剤師・薬局の基本的な在り方の見直しが検討され、医薬分業、薬剤師の職能の強化と薬局の機能について議論されました。今後、法改正に向けた動きが始まりますが、薬局・薬剤師を取り巻く環境の変化に即した適切な規制の下で、国民・患者のニーズに的確に対応できる薬剤師・薬局の姿を描かなくてはならないと考えます。

皆様方のますますのご健勝とご多幸を祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。


国内外のステークホルダーと連携
ICT CONNECT 21専務理事 栗山 健

謹んで新年のおよろこびを申し上げます。

新学習指導要領の実施により授業も変わろうとしています。これからの授業は、情報化と大きく関わることでしょう。

当会は、情報通信技術を活用して教育をより良くしていこうという意思を持つさまざまなステークホルダーが集まるオープンな場を提供するとともに、格差なく誰でもいつでもどこでも生涯を通じて学べる学習環境づくりに取り組み、教育の情報化の一層の進展に寄与しようとしています。

昨年からは教育委員会とのつながりも増え始めています。北海道・東北・四国・九州各地域での合同会議やフォーラムの開催により他地域での実践事例の共有が行われました。

小学校プログラミング教育導入支援ハンドブック2018の発行、技術標準WG連続セミナーの開催、海外から関係者を招へいしセミナーも開催しました。

今年も連携を深め教育の情報化の進展に寄与してまいります。本年もご支援よろしくお願い申し上げます。


私立大学の存在意義
日本私立大学連盟会長 鎌田 薫

新年明けましておめでとうございます。

ここ数年、政府や財政界などを中心に大学改革を求める声が強くなっています。この背景には、わが国の少子化やグローバル化の遅れによる国際競争力の衰退、第4次産業革命やSociety5.0への対応などの社会環境の大きな変化に大学教育は対応していないという厳しい見方があるからだと感じます。

このような社会の変化の中で、今後の大学教育は知識集積型から未知の問題を自分の頭で考え解決策を見いだす力を育てることに変わって行かざるを得ません。一方、公財政支出においては、学生一人当たり13倍の国私間格差を是正せず、さらにその格差を拡大化させてしまう高等教育の無償化策が実施されようとしています。

大学生の約8割を擁する私立大学はわが国の次代を拓(ひら)く原動力です。私立大学連盟は、私立大学の存在意義を高めるため、会員と一体となって私立大学の新しい潮流をつくり出す行動を積極的に展開していく所存です。ご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。


あるべき幼児教育・保育を希求
全国私立保育園連盟会長 小林 公正

謹んで新春のおよろこびを申し上げます。

保育所保育指針が改定され、現場ではその改定に基づいた保育に取り組んでいます。さらに、認定こども園への移行も進む中で、幼児教育・保育と学校教育との接続が非常に大切であることは言うまでもありません。

しかし現状は、残念ながら幼児教育・保育の本質が小学校の現場で十分理解されているとは思えません。例えば、授業中に座り続けることができないので、「遊び」よりも「座れるトレーニング」をして欲しいと求められたら、保育者らは「遊び」こそが話を聞くための集中力の基礎や、聞きたい意欲・興味を育むと答えます。せめて入学時に少しは読み書きができるようにと求められたら、読み書きよりも一人一人を大切にした教育・保育で、乳幼児期にこそ主体性のある人格を育みたいと答えます。

一人の人間が成長する過程で、学校教育の基礎を培う幼児教育・保育の本質を共に理解していただき、学校教育につなげていく必要があると考えています。


さらなる特別支援教育の充実に向けて
全国特別支援学級設置学校長協会会長 山中 ともえ

謹んで、新年のごあいさつを申し上げます。

各学校では、新学習指導要領の全面実施に向け余念のないところですが、全ての校種において、特別支援教育への取り組みが一つの重要な柱となっています。特別支援学校以外でも、幼稚園では障害のある園児への早期指導、小中学校では、特別支援学級や通級による指導の充実、高等学校では通級による指導の制度化など、現行学習指導要領より、さらに進んだものとなっています。2020東京オリンピック・パラリンピック開催国として、多様性を尊重し全ての人が輝く共生社会を構築していかなければなりません。

昨年8月には、学校教育法施行規則の一部改正により、障害のある児童生徒に対する個別の教育支援計画の作成が規定されました。学校も関係機関との連携を深め、障害のある子供の一生涯を考えた切れ目ない支援体制づくりへと進んでいます。

本協会は、校長の力を結集し、インクルーシブ教育システムの構築に向けて着実に歩みを進めてまいります。


「学校教育制度」の特例に思う
日本私立中学高等学校連合会会長 吉田 晋

新年おめでとうございます。

本年は、いよいよさまざまな教育改革について、方向性を決めなければならない年になります。

考えてみれば、学校教育のしくみや制度の中には、確たる根拠があるわけでもないのに、当然のごとく語られてきた事柄が少なくないように思われます。
例えば、現在、毎日のように話題に上る「高等教育」と「初中教育」の定義付けについても明確な根拠があるわけではなく、ただ事実上、大学等が「高等教育」で、小・中・高校等が「初中教育」と分類されているようなのです。

もちろん「学校教育制度」も、これまでの積み重ねや慣行の中から形成されてきたのだとすれば、ある程度の柔軟性を持った制度や運用もまた必要だと思います。

しかし、学校教育制度も社会制度である以上制度の限界があり、その限界が示されないまま、なし崩し的に制度が変容していけば、遠からず、制度自体の形骸化、崩壊につながることを恐れるのです。