AI時代を生きる 子どもたちの資質・能力

Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)を取り入れたSTEAM教育の重要性が日本でも叫ばれるようになって久しい。しかし、このSTEAM教育は黒船のように突如米国からもたらされたものではない。むしろ、以前から重視されてきた日本の学力観の延長線上に位置付けられたものだと言えよう。

赤堀侃司/著
ジャムハウス
1600円+税

著者は、ICTを用いることによってどのような授業が可能になり、児童生徒にどんな力が身に付くのかを、研究者として、また時には実践者として追い求めてきた。随所に出てくる国内外の授業実践や思考力を問う問題への分析に、その軌跡が凝縮されている。

人工知能(AI)の台頭によって、人間が担ってきた仕事が奪われると危惧されている。これに対して赤堀は、コンピューターの原型を作ったアラン・チューリングが行った「チューリング・テスト」を引き合いに、ビッグデータから学習を進化させ、人間の思考に近付いていくAIを教育で活用し、「付き合っていく」方向性を模索する必要性を指摘する。

探究的な学びをする上で、ICTを活用することはもはや前提となっている。子供の思考力を伸ばし、答えの出ない課題に取り組もうとするなど、学びに向かう力を身に付けさせる必要があるのは言うまでもない。未来の教室の姿が花開こうとしている現在、過去を振り返ったとき、その萌芽(ほうが)がどこにあったのか。一研究者の目を通して、新しい教育の潮流が形作られていく過程が語られている。