子ども問題の本棚から ――子ども理解の名著25冊を読み解く

半世紀以上にわたって子供を研究してきた著者によるブックガイド。古典的な名著から記憶に新しいベストセラーまで、「現代の子どもをとらえるのに示唆に富むと思われる」25冊が並ぶ。

深谷昌志 著
黎明書房/2000円+税

全体の構成を「欧米の古典に見る子ども像」「子どもたちにとっての昭和」「子どもの暮らしをたどる」「新教育運動に見る子ども像」「子どもたちの現在」という五つのカテゴリーに分け、各5冊ずつを取り上げている。

読者が興味を持ちやすいように、独自のキャッチコピーを付けたことも特徴だ。例えば、J・デューイの『学校と社会』(1898年)は「アクティブラーニングという言葉がむなしく響く」、千原ジュニアの『14歳』(2007年)は「不登校は、個性を認めない日本の文化の産物」と紹介している。

25冊の中には絶版のため入手困難となっている著作も含まれている。70年代の教育界で大きな潮流だった脱学校論を代表するI・イリッチの『脱学校の社会』(1970年)も、そのひとつだ。学校での成績が人間評価の基準となり、自分から学ぶ姿勢を失っていく状態を「学校化されてしまった社会」と呼び、社会の脱学校化を訴えたイリッチの批判は鋭い、と著者は指摘する。新学習指導要領で深い学びが求められるいま、イリッチの脱学校論はさまざまな示唆を与えてくれる。

なかなか読むことのない名著の数々。その奥深さに触れる機会をくれる。

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