(鉄筆)多くの学校関係者にとって……

多くの学校関係者にとって「主体的・対話的で深い学び」の語句はやや食傷気味なのかもしれない。しかし、その中の「深い学び」についての理解と実践はどうであろう。

深い学びの鍵となるのは「見方・考え方」である。「中学校学習指導要領解説総則編」によれば、見方・考え方とは、新しい知識・技能をすでに持っている知識・技能と結び付けながら社会の中で生きて働くものとして習得したり、思考力・判断力・表現力などを豊かなものとしたり、社会や世界にどのように関わるかの視座を形成したりするために重要なもの、ということになる。

見方・考え方の参考となるものの一つに、自己の客観視がある。自分の主観をより一般化するために客観的なデータを収集し、そこから主観の修正をする。これも見方・考え方を育てる一方法だ。

島国だったわが国が古来、国際的に孤立せずにきたのも貪欲に外国の情報を収集してきた歴史があるからだ。逆に、来日した外国人が日本や日本人を観察した記録を分析することで、われわれはより客観的な日本観を形成することができる。16世紀に来日した宣教師ルイス・フロイスや、幕末期に来日し大森貝塚を発見したエドワード・モースは日本人の子育てを絶賛していた。全ての大人が子育てに参加している、日本は子供にとって天国のような国だ…と語ったという。

児童虐待により幼い命が奪われる事件が繰り返される現在の日本。祖先が脈々と築き上げた子育ての遺伝子をわれわれは思い出す時期に来ているのではないか。