(円卓)テストの点数は何を示しているのか

聖心女子大学現代教養学部教育学科教授 益川 弘如

全国学力・学習状況調査や都道府県単位での大規模テストが毎年実施されている。また、単元テストや中間・期末考査、入試など、児童生徒は常にさまざまなテストを受けているが、その点数は何を示しているのだろうか。

学習成果を知りたくても、直接頭の中をのぞくことはできない。テストとは、児童生徒の学習成果を「観察」する手段である。観察結果が点数となり、点数を「解釈」して児童生徒の学習成果を推定し、順位付けや次の指導へのヒントを得ている。しかし、「観察」方法もしくは「解釈」が間違っていると何が起きるだろうか。

教師による「解釈」の間違いは、国や都道府県が実施するような大規模テストで起きやすい。問題は学習指導要領で目指す資質・能力を測定するよう工夫されている。

しかし、学校や教師が出題の意図や目指す資質・能力を履き違えると、指導の工夫が、計算・語彙(ごい)などの訓練や、さまざまな事柄を覚えさせることとなり、多くの時間を割いてしまう。すると、教科の見方・考え方を働かせる主体的・対話的で深い学びの実現時間も限られてしまう。結果、点数が向上しないサイクルが続いてしまう。

出題者による「観察」方法の間違いは、小テスト、中間・期末考査、入試などのハイステイクス・テストで起きやすい。各人の点数の散らばりや採点しやすさを優先してしまうと、単純な問題から難しい問題まで幅広く、時間圧がかかる数の問題が、単純な穴埋めや選択肢という設問形式で準備される。

そうすると、教師は単純な問題から対策を始め、そこで時間切れになったり、児童生徒は「いかにテストで高得点を取るか」というテスト対策の思考が働き、高得点を取るため事柄の丸暗記や、選択肢から間違いを消去する方略の学習となったりする。本来目指したい知識・技能や思考・判断・表現力などの育成とはかけ離れていく。

私は学習科学を専門としており、問題を解いているときに何を考えているのかを話してもらう思考発話法や、対話場面から思考を捉える対話分析を用いて、測定したい学習成果が「観察」できているかを、研究チームで検証しているところである。学習過程のエビデンスに基づき、指導と評価の一体化のための改善サイクルをつくっていきたい。

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