第9回ESD大賞受賞校の実践 中学校賞

自分・ひと・未来を大切に グローカルな活動を展開して

大阪府寝屋川市立第十中学校

はじめに

寝屋鉢かづき学園として三井小学校、宇谷小学校とともに9年間を見通した継続性・系統性・計画性のある小中一貫教育を進めている。

ユネスコスクールとして、地域や社会とも連携しながら、学校全体で取組を進め、さまざまな探究活動や主体的・対話的で深い学びを通して、「自分を大切にする心(Care)」や「他者と協働しながら(Communication)」「進んで参画する態度(Action)」を身に付けることで、地域や社会に貢献し、将来にわたって持続可能な社会を生き抜く生徒の育成が可能であると考える。

ESDで目指す生徒像=「自分を大切に ひとを大切に 未来を大切にできる生徒」

▽身のまわりの出来事をさまざまな側面や立場から考えることのできる生徒(Care)

▽仲間と協力できる生徒(Communication)

▽地域の一員として進んで参加できる生徒(Action)

実践内容

(1)総合的な学習の時間を軸とした各教科との関連付けによるカリキュラムの再構築(ESDカレンダーの作成)
ESDを進めるに当たっては、3年間の総合的な学習の時間の指導計画を見直すことから始めた。

総合的な学習の時間を軸に、教科横断的にどのように系統立てて実践するか把握できるよう、各教科の学習内容を八つのカテゴリーに分類した。総合的な学習の時間の学習内容と関連している単元を整理し、ESDの視点や身に付けさせたい三つの能力・態度に絡めた単元目標を作成した。

ESDカレンダーを作成することで、学校全体の学習活動を可視化し、各教科等との関連性を明示できた。またどの学年がどの時期に何を学習しているかを横断的に知ることにより、他教科と連携した取り組みも可能となった。

(2)総合的な学習の時間における探究的な学びと生徒の主体的な活動の実践(SDGsとの関連)

〔第一学年〕

1年生ではまず「ESDとはどういうものなのか」を考えることから始め、「ESD QUEST」を読み、世界ではさまざまな問題が起こっていること、それを解決するための取り組みがESDであることを学んだ。

「世界で行われているSDGsを調べよう」というテーマで、タブレット、新聞、図書館の本などを用いて、世界が抱えている課題とそれに関連するSDGsを調べ、ポスターセッションで発表を行った。

続いて実際に寝屋川市でもできるSDGsへのアクションプランについて考えさせた。SDGsを通して自分たちの住む寝屋川市をより深く知ることを目的としたが、これまで学んできた世界の国々や日本の他の地域と比べ、寝屋川市の良いところや改善点を考える地域学習となり、今まで知らなかった寝屋川市の取り組みにも関心を持てた。

班ごとにアクションプランを練り、プレゼンテーションの準備を進めた。研究発表会の当日には地域の方を迎えて、各班のアクションプランを発表し、意見交流を行った。ごみの捨て方の工夫や節電などの提案に、地域の方からも具体的なアドバイスをもらった。

ESDソングの創作にも取り組んだ。これまで学んだことを生徒が出し合い、作成委員会が詩としてつなげ、完成した歌詞に音楽科がメロディーを付けた。41期生オリジナル「ESD SONG2018」を完成させ、学習発表会にて披露した。

地域の働く人にインタビュー
〔第二学年〕

1年時の「100年後もより住みやすい寝屋川へ2017」の取り組みに続き、2年時ではActionにより力を入れた。6月に実施する3日間の職業体験学習を1学期の活動の中心と位置付け、職業体験実施後は世話になった61カ所の事業所に分かれ、体験した内容を紹介するポスターを作成し発表した。

身近な地域の飲食店や販売店、福祉施設など16カ所の事業所を選び、その魅力について各班が独自の方法でPRする活動を推進。「多面的・総合的に考える力」を深めることを目指し、事業所の魅力をPRするためのインタビュー活動に取り組んだ。地域の働く人の生の声を聴き、生徒が既存の知識をさらに深めたり、新たな情報を受け止め異なる角度から考えたりした。より興味を引くPRにするため、事業所での写真や動画の撮影にも凝るなど工夫する様子が見られた。

また、PRについては、SDGsのどれか一つをテーマとして意識させた。地域の家具店をPRする班では、東南アジアの一本の木を主人公に、木が切り出され加工され、寝屋川の家具店に並び、家庭で大切にされるまでを寸劇で表現した。家具を販売する際に植林活動している企業の社会貢献活動を元に、SDGs15「陸の豊かさを守ろう」をテーマにした。身近な地域の事業所や店舗が将来の環境に配慮し、世界とつながっていることに気付くことができた。

〔第三学年〕

1年時には「寝屋川を再発見」、2年時には「地元の職業、人、学校に学ぶ」の学習を行ってきた。3年時には、視野を寝屋川や大阪以外の地域に広げ、長野県への修学旅行を通して、生徒たちがグローバルに考えローカルに活動を行うグローカルなESDアクションに取り組んだ。

ESDの視点を大切にした絵本作り

修学旅行では、太平洋戦争中に作られた松代大本営を訪れ、語り部の方から当時について学んだ。自然の雄大さや素晴らしさを体験し、ワサビ農園に訪れ、長野の特産品ワサビについて興味を深めた。帰校後は、家庭科での幼児教育の分野と組み合わせ、学んだ内容を地域の幼い子供たちに伝えるため絵本作りに取り組んだ。ESDの視点を大切にした制作に取り組み、完成した絵本は学年で交流し合った。

夏休みには探究的な活動として、ワサビについて自由に研究を深めた。2学期には、ワサビと英語科、保健体育科、社会科、家庭科、理科をつなげ、各教科の切り口からワサビを見直す学習を行った。研究発表会では、「WASABI・DE・ESD」というテーマで、ワサビの魅力をアピールした。ワサビの未来を明るいものにしようと、学年教員がゲーム形式の活動を考案。

生徒を農家・卸売・小売・消費者の4人グループに分け、農家―卸売り、卸売り―小売り、小売り―消費者間で模擬売買を行うもので、活動を通して流通に係る諸経費などコストとの関係に気付くとともに、商品の売り込みを通して、地域の魅力をアピールする方法を考えた。

〔生徒会におけるESD活動〕

生徒会執行部では、率先して啓発活動を行った。ESDについて「世界と自分を繋げよう」というスローガンを掲げ、各委員会の委員長を集めた委員長会議を開催し、委員会ごとにどのようなESD活動ができるのかを話し合った。各委員会では独自の活動を生み出していった。

保健委員会ではSDGs12「つくる責任 つかう責任」を意識し、残飯を減らすという目標に沿って、残飯調査を実施。食の大切さについて考えることで、一人一人の食に関する興味関心を高めていった。

美化委員会では、SDGs11「住み続けられるまちづくりを」をテーマに、校内のごみの減少、再利用できるものリサイクル活動に取り組み、リサイクルできる紙ごみが増えた。校内のごみで「ごみアート」を制作し展示した。

〔地域と共にESD〕

毎月地域の方と高校生、中学生が校区の小学校の校門で登校する小学生にあいさつをしながら見守る「SGSあいさつ運動」を展開。

また、校区の高齢者の誕生月に、ボランティアの生徒がバースデーカードを届ける「ハートフルプレゼンター」。地域ボランティアの見守りの中、中学生が小学生を引率し、各所でゲームをしながら最後に農園で芋掘りを行う「ウォークラリー」などを実施した。

成果と課題

学期初めと学期末に生徒意識調査を実施した。その結果「地域の活動があれば参加したい」と考える生徒が大幅に増加した(1年29%→61%、2年36%→63%、3年50%→83%)。

地域に目を向けた取り組みを行った成果であると考えている。全国学力学習状況調査における「地域や社会で起こっている問題に関心がある」についての肯定的評価が60.6%(全国59.3%)となり、昨年度よりも26.8ポイント伸びた。

今後もESDの視点を大切にした取り組みをさらに深め、よりグローバルな視野で物事を考え、世界に発信できる生徒の育成に努めたい。