課題の解決など示す 第10回大会の報告書を作成

パネル、分科会の模様など

文部科学省、日本ユネスコ国内委員会主催で昨年12月に横浜市立みなとみらい本町小学校で開かれた「第10回ユネスコスクール全国大会―持続発展教育(ESD)研究大会」(共催・NPO法人日本持続発展教育推進フォーラムほか、後援・教育新聞社ほか)の報告書がこのほど刊行され、大会参加者、全国のユネスコスクール、都道府県教育委員会などに配布された。

第10回大会は、「未来はワタシたちを待っている―ESDで育てる児童生徒、教師、そして、学校、地域社会」をテーマに行われた。全国から教員ら約800人が参加し、ESD大賞表彰式の他、ESD推進に向けた先進的な事例発表が繰り広げられた。

主な内容は次の通り。

開会式では、浮島智子文科副大臣があいさつ。10年にわたるユネスコスクール全国大会の歴史を振り返り、「ESDに関するわが国の取り組みは好事例が数多くある。情報の共有化を通じてESDを一層進めてほしい」と呼び掛けた。

ユネスコ本部教育局・平和と持続可能な開発部のチェ・スヒャン部長は「日本のユネスコスクールは世界に誇るべき取り組みをしている」とたたえ、「世界に向けて発信してほしい」と訴えた。

「未来をつくる人材育成のあり方を考える」と題した特別対談では、コーディネーターの杉村美紀・上智大学グローバル化推進担当副学長が「批判的思考力とはどのような力か」と問い掛け、安西祐一郎・日本ユネスコ国内委員会会長が「例えば2018年6月に閣議決定した『第三期教育振興基本計画』を見た際に、読んで理解するだけではなく、『可能性を最大化するという文言に具体性がない』『経済界との関係に触れていない』など、さまざまな視点から問い直す力です」と回答。宮内孝久・横浜市教育委員が「教科書の他、新聞や本をよく読んだり、他者と対話したりして養われる」と補足した。

パネルディスカッションでは「ESDがつくるワタシたちの未来―ユネスコスクールで学び、育ち、そして、進む」をテーマに、ユネスコスクールの卒業生6人が意見を交換した。出身高校がユネスコスクールで、現在は大阪府立高校に勤務する市橋菜津美教諭は「高校在学中に学び合いや対話の重要性を知った」と述べ、その経験を生かした現在の指導例に多様な人々との交流学習を挙げた。小・中・高校とも防災教育に力を入れるユネスコスクールに通う宮城県気仙沼高校2年の伊藤夕妃さんは「防災への意識がいかに大切かを学んだ。将来は世界に向けて、ESDの視点から防災を広められる人になりたい」と語った。

11に分かれた分科会では、「ホールスクールアプローチで学校をデザインしよう」と題したワークショップや、SDGsをテーマに横浜市内の児童・生徒が議論する交流研修会が開かれた。特に交流研修会では、小学生から高校生までの4~5人が一つの班をつくり、計6班がそれぞれ「貧困問題に取り組むことがSDGsの第一歩だ」「ジェンダーの問題は社会全体の意識が変わらなければ解決しない」などと訴えた。

閉会式では、この10年においてESDの啓発普及に功績のあった教育関係者を対象に「第10回大会記念 ユネスコスクール/ESD推進功労賞」が授与された。