(円卓)なぜ2校目を目指すか

埼玉に夜間中学を作る会代表 野川 義秋

今年の4月、埼玉県内初の公立夜間中学「川口市立芝西中学校陽春分校」が開校した。さまざまな理由で義務教育を終えていない人、学び直しの形式卒業者、そして日本語の習得を求める外国籍の人といった生徒78人が学んでいる。この中には、自主夜間中学の7人も含まれている。

私たちが、川口自主夜間中学を運営しながら、公立夜間中学の設立運動を開始してから実に34年の歳月を要したことになる。

5月に発行した会報「銀河通信」においてこの報告をし、そこに「嬉しさと申し訳なさと」と題した一文を掲載した。県内初の公立の誕生を喜ぶ反面、もっと早く実現できなかったかとの後悔と、念願を叶えることなく、この世を去った人々へのお詫びの思いがあったからである。

2016年の教育機会確保法成立後、千葉県松戸市と川口市に公立夜間中学校ができたことは、本紙(電子版)でも「ルポ・夜間中学 開設までの道のりとこれから」と題して特集が組まれた。そのときのインタビューで、今後も自主夜間中学の充実を図りながら陽春分校を支援していく考えや、2校目の開設を目指す方向を明らかにした。

10年の国勢調査の統計によると、小学校を卒業していない未就学者の数は県内において4787人にも上る。この数には小学校を卒業して中学校に進学したが、卒業しなかった人数は反映されていない。従って義務教育未修了者はもっと多いことになる。

私たちはこれらの全ての人に、読み書き・計算という社会生活で不可欠な基礎学力を保障することを念頭に置くべきだと主張してきた。しかし、夜間中学を取り巻く世論の状況は残念ながら、そのようになっているとは言い難い。

あたかも夜間中学が日本語の習得を求める外国籍の人のための場として、役割を変えつつあるかのごとき論調が目立つ気がしてならない。これは国の政策である大量の外国人労働者の受け入れや、入国管理法の「改正」も無関係ではあるまい。

私たちは既に、県内唯一の政令指定都市のさいたま市に、2校目を設立する取り組みを開始している。

今後も夜間中学が本来的な役割を担いつつ、国籍や年齢・性別を超えて共に学ぶ場であることの、指標となる取り組みを心掛けていきたいと考えている。