(円卓)文化部活動の将来に向けて

 (一社)ふじのくに文教ネットワーク理事長 齊藤 勇

部活動の在り方が問われている中、文化部活動の将来に向け、あえて挑戦的な言葉を用いて提言したい。

「本来の姿を取り戻す」――文化部活動の原点回帰を意味する。

その姿は、学習指導要領の中に示されている。既定のルールにより競技性を有する一部を除き、多くの文化部は「勝ち負け」の尺度で測ること自体、文化や芸術の本義からしてもふさわしくない。

ところが、部活動が参加する各種コンクールなど(以下、大会)では審査方式が採用され、成績優秀者が上の大会に進んで評価を得る。半世紀以上にわたり定着拡大したため、疑問すら抱かない方が普通かもしれない。評価が求められる学校教育では、競技大会中心の運動部に準じる形で文化部も仕組みが整えられたからであろう。

日々の活動において、大人が指導するティーチング主体では、子供たちが自発的に高いモチベーションを維持するのが困難なことも多い。そこに競技性を持ち込みモチベーションを高め、一致団結を促す効果を発揮してきた側面もある。

文化系の大会そのものを否定しているのではない。例えば、少年少女合唱団やピアノの習い事で上の大会を目指し、努力が実って成績上位となれば自信を持てるとともに技能も向上する。将来プロの世界で活躍する人材の輩出にもつながる。これら民間の団体に加入し、自発的に大会に参加すれば得るものも大きい。

このような観点で意義深い大会を、そもそも文化部活動の主軸に据えて取り組むことがふさわしいかどうか、を根本的に問いたい。特に中学生においては、学習指導要領にある通り、部活動は文化や科学に「親しむ」までではないだろうか。

文化庁が示した部活動の地域移行を先取りする形で、昨年度、静岡県掛川市では文化系の地域部活動を創部した。市内5つの学校から入部した中学生たちは、大会とは無縁ながらも、毎回楽しそうに参加しながら高いモチベーションを維持している。これまでの枠にとらわれない新たな部活動ゆえに、可能な取り組みである。

市や市教委との協働と地域経済界の支援の下、多様な文化部のコラボレーションによる地域の文化振興に直結する活動が、持続可能な文化部活動の将来の道を開くと考える。

(地域部活・掛川未来創造部顧問)