(円卓)ESDを深め、そして高める

東京都多摩市立連光寺小学校長 棚橋 乾

世界全体で持続可能な社会をつくるという、将来世代に対する責任感のある協調的な価値観と取り組みは、即物的で排他的な価値観とせめぎ合い、実際の取り組みとしては、土俵の中央よりも、俵に片足がかかった状態が続いています。

このような状況を変革するには時間と忍耐が必要ですが、気候変動や貧困などの問題に対して、見て見ぬ振りはできないとの思いを共有している方が多くいらっしゃるのは希望であり推進力であります。

教育現場においては、教育によって押し戻そうとの思いで、ESDを進める教員の数が増えています。この夏も全国数カ所で行われたESDやSDGs関連の研修会に招いていただきました。今年は小中学校の教員と共に、高等学校の教員が多く参加していました。大学入試改革の影響だと推察しますが、探究学習をするならESDで、と思ってくれたたのはうれしいことです。実際の指導に生かしてもらうのが研修成果ですので、ESDの実践に期待しています。

さて、東京都多摩市では、市を挙げてESDに取り組み始めて10年が経過しました。これまで各校での取り組みや、「子ども未来会議」での小中学生合同の協議・発表会などを実施してきました。さらにESDの学びを深めるために、学習内容や指導方法だけでなく、どのような能力・態度が育成されたのかを振り返る作業、つまり評価に着手しています。

手始めにルーブリック形式の児童生徒対象の意識調査を作成し、小学校6年生と中学校3年生に実施しました。集計の途中ですが、「持続可能な社会づくりが重要である」という項目は突出して高く、持続可能な社会づくりへの価値観が醸成されてきていることが実感できました。

このような調査はこれまでなかったように思います。他地区の学校にも声を掛けていますが、多くの学校に参加してもらい、結果を共有することでESDの改善を図っていきませんか。関心のある方は、筆者のアドレスまでご連絡ください。

より多くの方と協力して、ESDを深め、そして高め、子供たちや社会の未来が豊かになる一助になればと願っています。

(全国小中学校環境教育研究会副会長)