(円卓)教員研修の改善のために

帝京科学大学教育人間科学部教授 釼持 勉

教員採用試験の倍率低下と教師の資質の低下が盛んに議論されている。その中にあって、教師の働き方改革が待ったなしで進められている。勤務時間の制限やさまざまな時間管理が議論を呼んでいるようだ。

一方、現職の研修は、新たな教育課題が増えるのに伴い、増加傾向にある。各校は校内研究会、研修会を一定の時期と時間で実施しなければならない。

ここでは、現職研修の一例として、和歌山県教育センター学びの丘で行われているeラーニングと、ある中学校の取り組みを紹介したい。

前者の教育センター学びの丘では、和歌山県の地理的状況への対応から、eラーニングシステムを取り入れて研修を保障している。学びの丘で作成した動画を用いて、自校において研修が受けられる環境となっている。広大な面積を有する自治体では、このように出張をしないでも研修を受講できるシステムが学校現場で大変重宝されているという。

筆者はこれまでに、学びの丘で8本の講座用動画を作成した。「板書の基本―基礎編」「板書の基本―応用編」「子どもと向き合う学級経営」「国語科の学力向上」「言葉の力を最大限生かす授業」「中堅教諭の資質向上とは」などであり、活用者の評判もよい。実務的にも研修会場に行く時間を学校事務などに振り当てられるので、このような仕組みはぜひ参考にしてもらいたいと考える。

もう一つは和歌山県西牟婁郡白浜町立富田中学校のオープンセミナーである。中学校を核として近隣の小学校および中学校の教員、指導主事を巻き込み、外部講師などを招いて実施している。

筆者は、講師として講演や指導・助言などを務めた。人材育成を目的に、それぞれの職層に応じた指導が行われる、開かれたセミナーである。

2019年度は、この秋に3回目が行われる予定だ。今回は、国語科のベテラン教諭から学ぶというのが主題であり、学びの継承にも資するセミナーとなっている。

筆者の関係から、和歌山県内における二つの研修の実践を紹介した。校内研修がなかなか機能せず、若手教員の授業の力を伸ばせない学校がある。また行政主催の研修会が増加して、負担増になっている自治体もある。
必ず参考となる事例であると考える。