とねりこ通り三丁目 ねこのこふじさん

山本 和子 作
石川 えりこ 絵
アリス館
1400円+税

こふじさんがトランクをひきずってやってきたのは、とねりこ通りの坂の上にある西洋館。家賃の代わりに、その月らしい行事をして毎月手紙で知らせるよう言い残して、おばあちゃんは一年間の世界旅行にでかけてしまった。

動物づきあいに疲れ、一ぴきぐらしを満喫しようとしていたこふじさんだけれど、戸だなで暮らすねずみのネズモリさんをはじめ、この町には風変わりな住人たちがいて――。

いじめっこのきつねのふさのお、仲間外れを恐れ自己主張しないバクのるるあ。どこか足りない彼らを認め受け入れるうちに、閉ざしていたこふじさんの心も解き放たれていく。

住民とのつながりの中で再生していくこふじさんの姿は、同じように喪失感を抱いた大人にまぶしく映るだろう。素朴なイラストと、博識なネズモリさんが解説するまめ歳時記にも心ひかれる。