「おもしろ」授業で法律や経済を学ぶ パート2

筑波大学附属高校で「政治・経済」を教える筆者が、法律や選挙、経済政策、社会政策を扱う授業に、高校生を引き付けていくノウハウを分かりやすくまとめた一冊。

熊田 亘 著
清水書院
1500円+税

「子供の貧困」の章をみてみよう。授業の初めに筆者は、スライドで乃木坂46のメンバーだった橋本奈々未さんの写真を映し出した。「これは誰?」と知っていそうな生徒に尋ね、橋本さんが2017年に乃木坂46の卒業を発表したときのやりとりを紹介した。実家が水道やガスが止まるくらい貧乏で、お金のために乃木坂46に入ったこと。

弟が大学に行って学費免除になり、母親からもう好きなことをしてくださいと手紙が届いたこと。このエピソードを入り口に生徒を授業に引き込んでいく。

つかみが柔らかいが、授業内容は盛りだくさんだ。子供は自助努力が難しく、貧困は正当化できないという人権上の基本認識を確認した上で、相対的貧困を巡る考え方や国際比較、子供の貧困がもたらす社会的な損失といった観点から、多面的に捉えていく。

一連の説明が筆者が実際に生徒と交わした会話で表現されており、読者は授業の進め方を自然にイメージできる。費用対効果や実現可能性を踏まえ、公共政策としての優先順位を判断させることも忘れない。

政治経済の課題は正解がひとつではない。新学習指導要領では、その答えを生徒と一緒に考える授業が求められている。そんな授業づくりのヒントが見つかりそうだ。

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