(鉄筆)昨年、たわわに実をつけた……

昨年、たわわに実をつけた鉢植えのミヤマカイドウだが、今年は実も少なく弱々しい。大切に育てたつもりだったが、日当たりを好み寒さに強い植物と聞いていたので、冬場も外に出しておいたのがかえって徒(あだ)になってしまったのかもしれない。

植木に限らず、よかれと思ってやったことが、逆の結果を生むことはしばしばある。以前、ある新聞のコラムで、岩波書店創立者岩波茂雄が、「教育は人を賊(そこな)ふ」ことがあるからと女学校の教師を辞めて古本屋になったというエピソードを江藤淳氏が紹介していたのを読んだことがある。

確かに教育は、子供をよき人に育てる営みではあるが、親や教師が思うほどに子供たちは育ってくれないことも事実である。よかれと思って条件を整え、教えても、その子の心や体などに即さなければ、かえってその子を害することにもなる。

先月発表された2018年度「問題行動・不登校調査」では、いじめ、不登校、暴力行為とも過去最多。特に、小学校の暴力行為に至っては、その数で中学校を逆転したという。年々増え続けるこうした問題行動に歯止めがかからないのはどうしてだろうか。もしかしたら、子供たちの未来を考えてなされている今日の教育が、逆に子供たちを賊(そこな)いつつあることを示すサインではなかろうか。

問題行動防止に向けて学校、家庭、地域を挙げて対応することは当然だが、同時に、子供たちの置かれている現状を冷静に見つめ、多角的に今日の教育の在り方を検討すべき時期に来ているのではないだろうか。