(鉄筆)先日、何気なく入った古書店で……

先日、何気なく入った古書店で、長年探し求めていた『葛原勾当日記』(小倉豊文校訂)を見つけた。

この日記を書いた葛原勾当(くずはら・こうとう、1812~82)は、3歳のとき、痘瘡(とうそう)で両目を失明したが、音曲の才能に恵まれ、15歳で生田流箏曲の教授となり、箏曲の名人と称された人だが、葛原勾当の名を今に留めるのは箏曲以上に、16歳から亡くなる71歳までの56年間、とりわけ、初期10年間を除く40数年、自ら創案した、「い」「ろ」「は」「月」「日」などの木で作った活字63文字を拾いつつ日記として記録し続けた偉業にある。

日記は、出稽古の記録や折々の出来事、体の好不調などがつづられている。……

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