(円卓)用語の一人歩き

筑波大学教授・教育学域長 吉田 武男





わが国では、人の不安や悩みをあおる用語を中心に、複雑な背景を持つ教育現象に対して、分かりやすい鍵となる用語がしばしば見つけ出され、それが多くの人々の腑(ふ)に落ちると、教育界に留まらず、一気に社会全体にまで爆発的に広がってしまう。

確かに、このような用語による説明を通して、複雑で不可解な問題が一時的に不安な人々を納得させて落ち着かせてくれる。その意味では、発見された用語は一定の存在意義を有している。

しかし、複雑に変化する人間や社会の問題に対して、その状況で発見された用語は、広まりの中で一人歩きし出すと、使う側の欲望や願望によって拡大解釈され、時にはねじ曲げられて変質していくことになる。……

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