第10回ESD大賞発表 文科大臣賞に福山市立福山中・高校

ユネスコスクール大会で表彰

NPO法人日本持続発展教育推進フォーラムではこのほど、第10回ESD大賞(後援・文科省、日本ユネスコ国内委員会、(株)教育新聞社ほか)の受賞校を発表、文部科学大臣賞には広島県福山市立福山中・高等学校が選ばれた。

文科大臣賞に輝く福山中高の実践

同賞は、各学校で正しいESDの概念に基づいた教育が積極的に実践され、持続可能な社会の構築に参画する人間づくりの推進に寄与することを目的に、小中高校を対象にESDの実践研究事例を募り、優れた実践を顕彰する。

文科大臣賞(ESD大賞)のほか、ユネスコスクール最優秀賞1校、小中高の各賞各1校計5校に加え、審査委員特別賞1校、一昨年から新設されたベスト・アクティビティ賞1校、スタートアップ賞1校が受賞した。

受賞校は、次の通り。

▽文部科学大臣賞(ESD大賞)=広島県福山市立福山中・高等学校

▽ユネスコスクール最優秀賞=東京都多摩市立連光寺小学校

▽小学校賞=東京都杉並区立西田小学校

▽中学校賞=熊本市立北部中学校

▽高等学校賞=広島県立安古市高等学校

▽ベスト・アクティビティ賞=名古屋国際中学校・高等学校

▽スタートアップ賞=静岡県立駿河総合高等学校

▽審査委員特別賞=学校法人静岡理工科大学 星陵高等学校

表彰式は11月30日、広島県福山市の福山市立大学で開催される第11回ユネスコスクール全国大会で行われる。

以下に主な賞の受賞理由を紹介する。

第10回ESD大賞・受賞理由
▽文部科学大臣賞=広島県福山市立福山中・高等学校

福山中・高では、「グローバルな社会、地域社会で活躍する資質・能力は、どうすれば育成できるのか」をテーマとし、ESDの推進は「持続可能な社会づくり」だけでなく、「個人の資質・能力の向上」と共に「学校の教育改革」にもつながるのではないかとの仮説の下に取り組んでいる。

活動は、総合的な学習・探究の時間などを中心に各教科、特別活動等が密接に連携し、ESDで育成する情報整理力、表現力、課題解決力、協働、自他の尊重、チャレンジ精神などの資質・能力の育成に努め、その評価は5段階のルーブリックを設定して行っている。2016年以降3回の評価を行ってきたが、結果は上昇傾向となっている。

ESDの評価への取り組みとしてこれまでにも事例はあったが、福山中・高ではESDで育みたい6つの資質・能力それぞれについて5段階のルーブリックを設定している。5段階による評価は生徒の成長の姿を具体的に捉えていて、生徒、保護者、教師のESDの意義の理解とその推進にとって有意義な取り組みといえる。

ESDへの取り組みによって生徒や教員がペットボトルを避けるなど日常生活における行動の変容が見られたり、市や企業と連携しSDGsに関連する地域の課題に取り組んだりするなどの新たな動きも見られるようになった。ESDの視点に立ち、目的、活動、評価の一体化を図る学校運営、さらに、ESDを通じての教育活動をSDGsに向けるなど持続可能な社会の構築につなげる学校の取り組みが高く評価された。

▽ユネスコスクール最優秀賞=東京都多摩市立連光寺小学校

連光寺小のテーマは「持続可能な社会の創り手の育成、地域から世界へつながる連光寺ESDの実践」。狙いは「6年間のESDの学びや活動を通して持続可能な社会づくりへの価値観や意欲、探究活動の能力等の育成を図り、地域から地球規模の問題まで視点を広げて学ぶ」を挙げている。

1年生は自然遊びを通した気付きや発見、2年生は公園探検などによる地域理解、3年生は地域と関わる活動、4年生は多摩川の生物や環境調査、5年生は森林学習と稲作体験、6年生は再生可能なエネルギーの発電に挑戦など発達段階に対応したカリキュラムを作成している。

6年生は実践の成果として駅前のクリスマス・イルミネーションを点灯させ、市民に省エネの大切さをアピールした。卒業後もSDGsについて各自がテーマを設け、取り組む態度の形成が図られるよう6年間の指導の一貫性を図っている。ホールスクールアプローチ、ESDの視点に立ったカリキュラム・マネジメントなどへの取り組みが評価された。

▽小学校賞=東京都杉並区立西田小学校

狙いは「全教育課程を通して、人や自然、社会との「関わり」や「つながり」を大切にしながら、グローバル化する世界において、持続可能な社会を創る個々人の価値観の育成を目指す」。全教育課程にSDGsの項目を幅広く取り入れ、低学年から高学年へと発達段階を考慮した課題を設定し探究活動に取り組んでいる。

環境問題や平和に関する問題などについては、教室だけの学びから実感を伴った理解となるよう外部団体のよる支援を受けている。外部団体の支援を機にカリキュラムを見直し、子供たちの課題に対する当事者意識や行動力の育成が図られるように改めた。その結果、つながりや関わりを大切にしようとする態度が見られるようになり、3年生のミミズコンポスト作りや委員会活動による途上国の森林保護に対するリサイクル活動にも参加するなどの行動が見られるようになった。

こうした子供たちの変容する姿に接した教師はESDの重要性を再認識し、地域独自のSDGsを見いだして教育課程に位置付けるなどの動きも見られるようになった。

▽中学校賞=熊本県熊本市立北部中学校

北部中ではESDを学校教育の柱に据え、狙いとして①子供たちに持続可能な社会の創り手としての資質・能力を育む②北部中の教育活動を通して持続可能な社会づくり貢献する――の二つを挙げている。

活動としては、ESDが系統的に学べるよう学区の幼稚園・保育園、小学校との連携を重視して取り組み、全教科でESDの視点に立った指導案を作成して授業実践を進めた。総合的な学習の時間ではSDGsを意識して取り組む探究的な学びを取り入れたカリキュラムを開発した。各教科の単元に環境・伝統文化・安全・防災・健康・国際理解などを振り分けた「ESD学びの地図」を作成し、生徒が学びの場面として「知ることを学ぶ」「なすことを学ぶ」「生き方を学ぶ」「共生社会を学ぶ」を捉えられるようにした。

生徒は学びを通して「持続可能な社会づくり」に向けた提案や活動を行い、その結果、ESD、SDGsの理解が地域にも広がった。市議会でも取り上げられ、熊本市のSDGs指定都市の指名につながった。

▽高等学校賞=広島県安古市高等学校

学校の校訓である「仰高スピリット(高きを仰ぐ)」「グローバル・シチズンシップ」「ESDの視点」をキーワードとして「総合的な探究の時間」における学習活動、オーストラリアの姉妹校との交流、地域連携などの活動に取り組んでいる。

「総合的な探究の時間」では、1年次にSDGsの基礎の学習、2年次は個人の課題を設定した探究活動、3年次では2年次までの学習の成果をSDGsへの取り組みに生かす方策を提示すると共に、「持続可能な社会の実現を目指して」をテーマにパネルディスカッションなどを行っている。

姉妹校との交流では平和、人権、地球環境問題などをテーマとしてワークショップを行った。広島県主催の「広島国際ジュニアフォーラム」やパリ協定に関する学生会議、気候変動サミットでは、同校生徒が代表としてパネルディスカッションに参加している。地域との連携では地域清掃、伝統文化の継承、地域の課題についての話し合い、合同防災訓練などに参加するなどの活動に取り組んでいる。

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