100年先を見通して 未来を築く「学び続ける力」を

市ぐるみでESDを推進―広島県福山市

「100万本のばらのまち 福山」は、広島県の南東部に位置する、人口およそ47万人の中核市です。小学校76校、中学校33校、義務教育学校1校、中高一貫校1校の市立学校に、およそ3万6000人の児童生徒が在籍しています。

霞小学校ではオリ・パラ教育に力を入れている

本市教育委員会が取り組む「福山100NEN教育」は今年度、4年目を迎えています。市政施行100周年となる2016年1月、次の100年に向け、これからの変化の激しい先行き不透明な社会で必要な資質・能力を「21世紀型“スキル&倫理観”」(以下“スキル&倫理観”)として育み、日常のさまざまな場面で行動化できる確かな学びにしていくことを「福山100NEN教育」として宣言しました。

この年の4月から、各中学校区・学校は、義務教育9年間で子供たちが身に付けるべき“スキル&倫理観”を全教職員で熟考し協議していきました。その育成に向け、これまでの小中一貫教育の取り組みを「ESDの二観点」(①人格の発達や人間性を育む②関わり、つながりを尊重できる個人を育む)で見直し、各教科や行事などのつながりを明確にしたカリキュラムを編成・実施していきました。

約1年をかけて整理したカリキュラムは、育成する“スキル&倫理観”と学ぶべき教育内容の全体像を見渡すことができる地図「カリキュラム・マップ」として1枚に集約し、現在も、日々の教育実践の中で評価・改善を繰り返しているところです。

また、こうした取り組みを着実に進めるために、全ての小中高等学校において、ユネスコスクールに加盟する準備をスタートさせました。現在、14校(小11校、中2校、福山中・高等学校)が加盟し、65校が加盟申請手続きを行っています。

18年に加盟した福山中・高等学校は、共生社会の実現に向け、6年間を通して持続可能な社会の担い手に必要な知識、能力、態度、価値観を育成するために、福山の歴史や資源、企業などをテーマにした「地域課題解決プロジェクト」、国際交流に基づいた「国際課題解決プロジェクト」、自らの長所や魅力を発見し自尊心を高める「生き方・在り方探究プロジェクト」の三つを実施しています。

加盟申請中の霞小学校は、取り組んでいる「オリ・パラ教育」で育成を目指す「豊かな国際感覚」「障害者理解」などの資質・能力をESDの視点で統合し、地球市民、平和についての学習を進めています。ESDの視点を取り入れ、過去・現在・未来といった時間的な広がり、自地域と他地域といった空間的な広がりを持たせたふるさと学習、JCI福山青年会議所と連携した国際理解教育に計画的に取り組み、自他を尊重し、主体的に学び続ける児童の育成を目指しています。

「福山100NEN教育」3年目となる昨年度、「『子供主体の学び』全教室展開~学びが面白い!~」をテーマに、全ての子供たちが知的好奇心や学習意欲を発揮できる「子供主体の学び」づくりに取り組んでいます。さらに今年度は、これまで以上に一人一人の個性や学び方を大切にすることを「カラフル」という言葉に集約し、それぞれが持っている知識や経験を基に、物事をより深く見つめ、本質に迫ることを通して「面白い!」と実感できる学びづくりを追求しています。

「福山100NEN教育」が描く未来は、「変化の激しい社会の中で、子供たちは、自分の夢の実現に向けて、ローズマインドを胸に、福山で、日本で、世界で、たくましく生きている。そして、環境・貧困・人権・平和・開発等、現代社会のさまざまな問題を自らの課題として捉え、それらの課題解決のために、さまざまな人々と協働して、持続可能な社会を創造している」という姿です。

「すべては子供たちのために」を合言葉に、日々の学びの積み重ねが、次の100年、さらにその先の未来を築く「学び続ける力」となるよう「福山100NEN教育」に取り組んでいきます。

(文責・福山市教育委員会)