(鉄筆)作家井上ひさし氏に……

作家井上ひさし氏に、「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく…」という言葉がある。人に伝える心構えを、作家らしく、さらりと言い尽くすあたりさすがと感心する。

「社会に開かれた教育課程」「学びの地図」「カリキュラム・マネジメント」は、今次改訂の理念につながるキーワードだが、新教育課程全面実施目前の今になっても、学校を離れて数年たつ筆者には、これらの意味の十分な理解には至っていない。われわれであればそれでもよいが、当事者たる保護者、地域の人々にとってはそうあってはなるまい。

本来、各学校は、これらの言葉を含めた新教育課程の理念を「やさしくふかく」説明してしかるべきだが、私の手元に来る何校かの学校便りを見る限り、そうした説明はあまり見当たらない。

前回改訂の折には、理念「生きる力」について、学校関係者や保護者、社会との間に十分な共通理解がなされなかったという反省の下、その共有化を図ることが改訂の基本的な柱の一つであった。そのため「生きる力」について、国をはじめ、各学校でも学校便りなどで「やさしくふかく」発信していたと思う。

これからの教育の在り方について、保護者を含め、学校関係者の共通理解が図られていなければその実現はおぼつかない。もし、十分共有化されてこなかったのであれば、各学校は、改めて、自校の実態に即し、保護者や地域の人々に、理念とその具体化について、「やさしくふかく」説明、発信する必要があるのではなかろうか。