(円卓)創造的な学校マネジメント

北海道教育大学副学長 玉井 康之

読み応えある学校マネジメント書の一つとして、文部科学省総合教育政策局の浅田和伸局長が書かれた『教育は現場が命だ』(悠光堂、2019年)を読んだ。

浅田氏はキャリア官僚でありながら中学校長となり、学校現場の実態を踏まえて、政策と実践をつなぐ創造的な学校マネジメントの方策を考えている。本書は実にリアルな人間関係づくりや試行錯誤の実践も書かれているので、創造的な学校マネジメントの神髄と理想型を捉えることができる。

日本の教育も大きな流れとして新しい発想と実践も取り入れなければならない。ただ、それは理念だけでは進まないので、常に大きな改革理念と具体的実践の調整を図りながら、新たな実践方向を模索することが不可欠である。

本書では官僚としての浅田氏が、一つの改革理念を抱きながら、さまざまな学校や地域の関係者と調整しながら実践していく様子が描かれている。その過程を見れば、学校が創造的にカリキュラム・マネジメントとチーム学校を推進し、試行錯誤であったとしても、主体的で創造的な学校マネジメントを進めるのが重要であることを示している。

一方教育政策も、さまざまな学校の実態を踏まえながら、より客観的で公平なものを模索している。政策を具体化するために、学校現場の柔軟な対応幅も政策指針とする重要性を本書は示している。実は政策内容は、中間伝達者を多く経る過程で、得てしてどこかで硬直化し創造的でなくなる傾向も生じるからである。

すなわち「柔軟な幅を持つ教育政策」と「柔軟に使いこなす学校現場」がうまく結合して創造的な学校マネジメントの実践が展開していく。「創造的に行動すること」は、実は教師が日常的に子供たちに指導している。創造的に思考し行動できるよう子供たちに求めるならば、当然、校長も教師も創造的に学校マネジメントを進める後ろ姿を見せなくてはならない。

この創造的に行動することが、皮肉にも、子供に「生きる力」を求める学校自体に求められる課題となっている。

ちなみに浅田氏は瀬戸内海の離島へき地出身である。離島の密接・柔軟な人間関係や地域ぐるみの活動の経験が、氏の創造的な学校マネジメントの基盤になっているようにも感じた。

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