(円卓)対話を超えた協働的な学びを

総合初等教育研究所参与 北 俊夫

新学習指導要領は、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を求めている。これは指導方法に関わる課題。新学習指導要領の全面実施を待つことなく、移行期間から実践が可能だ。

近年、授業で「対話的な学び」と称して、子供がペアになって互いの意見を交換する活動が取り入れられている。2人が組になって対話する活動はこれまでの授業でも、特に小学校低学年などで多くみられた。決して目新しくはない。

『広辞苑(第六版)』で「対話」を引くと「二人の人がことばを交わすこと」とある。類語に会話や対談。ペアになって対話する活動は国語辞書に沿ったものだ。ただ、2人による対話では、多様な意見が出ず、子供の視野が広がらない。思考や理解の深まりにもおのずから限界がある。

こうした課題を解決するためには、人数を3~6人に増やしてグループで話し合ったり、学級全体で討論したりする活動が必要だ。一対一の関係を超えた、より大きな集団で学ぶ場を設けることによって、子供たちは多様な考えや考え方、感じ方などを参考にしながら、自らの考えを深めていく。そこでは個人思考が展開される。

授業では、意見の違いを認め合い支え合いながら、みんなでより良い考えを生み出そうとする創造的な営みが必要である。多様性を尊重し、共に高め合う姿は、集団思考が展開されている証しだ。これは家庭や学習塾では体験できない、学校でこそできる学びだ。

学級という学習集団は多様な子供たちで構成されている「小さな社会」である。いかなる社会でも違いを認め合い支え合いながら、協働的に生きていくことが求められる。

「協働」は第2期教育振興基本計画が「創造」や「自立」とともに示した重要なキーワードであった。

対話を超えた協働的な活動は、学びに深まりと広がりを創る。そこでは、対話的な狭い人間関係の中では身に付きにくい重要な力を養うことができる。

例えば、意見の違いを尊重し受け入れる力や多様な意見を調整する力、新たなものを共に創り出す力などの能力や態度だ。これらは将来社会人としてよりよい社会の形成に参画する際に生かされる。

対話を超えた「協働的な学び」は、授業改善の課題としてだけでなく、社会人を育成するためにも必要だ。

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