物語・小説「読み」の授業のための教材研究

小学生が物語や小説の「読み」を通じて国語力を付けていくための授業について、国語科教育学を専門とする秋田大学大学院教授の著者が実践的に解説した一冊。

阿部昇 著
明治図書出版
2460円+税

著者は、学年が上がるにつれて国語嫌いが増えていく理由について、「『物語が好き』『友達と話し合うことが楽しい』という感想を子どもがもったとしても、それは自分にだんだんと高い言語の能力が身についているという喜びとは少し性質が違う」と指摘。

構成・構造を読む「構造よみ」、形象・技法を読む「形象よみ」、吟味・評価をする「吟味よみ」の3段階に分け、児童の言語の能力を育てる指導過程を説明している。

さらに、3段階の指導過程に従い、教科書が取り上げている物語や小説について、実際に授業で教える技法を紹介しているところが、本書の大きな特徴だ。

取り上げているのは、▽レオ・レオニ/谷川俊太郎訳『スイミー』▽アーノルド・ローベル/みきたく訳『お手紙』▽今西祐行『一つの花』▽椋鳩十『大造じいさんとガン』▽立松和平『海の命』▽ヘルマン・ヘッセ/高橋健二訳『少年の日の思い出』▽向田邦子『字のない葉書』▽魯迅/竹内好訳『故郷』――の計8編。

まず構造よみで導入部、展開部、山場、終結部といった展開を把握し、形象よみで人物の設定や関係性を理解し、吟味よみで登場人物の生き方などから見えてくる主題を読み取る。そうした授業のノウハウが詰まっている。