(円卓)社会の変化と自己実現+持続可能性

東京都多摩市立連光寺小学校長 棚橋 乾

新型コロナウイルス感染症の終息が見えません。社会や経済が混乱して、まるで持続不可能な社会の様相です。対策の一つとして全国の学校が休校となり、そのまま春休みとなりました。子供たちの笑顔や歓声のない学校は閑散としています。

安全な日々が戻り、早く学校が再開できることを児童生徒、保護者や学校関係者は待ち望んでいます。友達がいたり、勉強したり、活動したり、自己の将来や社会の未来に目を向けることのできる学校は、楽しいところなのです。

今後、混乱やリスクは増えると言われています。社会の変化に教育はどのように関わることができるのでしょうか。

これまで学校教育では、さまざまな知識や技能を身に付けるだけでなく、思考し判断することや、意見を交わして思考を深めたりする能力の育成、そして、学ぶ意欲や協調性、公正さや責任感など情動に関わる資質の育成を図ります、と説明してきました。

どれも重要な資質・能力です。しかし、これらに加えて問題を自分ごととして捉えて、思慮深くクリティカルに思考し、問題解決の方策を練り上げて実行する力、持続可能性への意識の育成が必要です。指示されたことをそのまま鵜呑みにする思考停止では、何も解決できるようになりません。

そのためにも、児童生徒が主体的に現代的な課題に取り組む学習、つまり総合的な学習の時間を柱とした学びの充実が必要です。これは、教師が敷いた線路の上を走る学習ではなく、児童生徒自身が地図とコンパスを持って旅をするような学びです。

指導の転換はできているでしょうか。

これまでは、児童生徒の自己実現を図ること、つまり社会で自己の良いところを発揮して活躍することを教育の成果目標としてきましたが、最近よく考えるのが「自己実現+持続可能性」です。

あって当たり前だった環境、社会や経済の秩序が崩れると、可能であったはずの自己実現も図れません。成長する努力の半分を、持続可能性の学習に振り分ける教育に姿を変えることが求められています。

社会や子供たちの将来が危うい気がしませんか。持続可能な開発のための教育ESDやSDGsの学びが、ますます重要となっています。

(全国小中学校環境教育研究会副会長)