(鉄筆)小学校に入学した新1年生にとって……

小学校に入学した新1年生にとって、初めて手にする国語の教科書は、これまで接してきた絵本などとは違う特別な印象を持つのではなかろうか。

寺田寅彦の随筆集『柿の種』に、「いろいろな国語の初歩の読本には、その国々特有の色と香がきわめて濃厚に出ている」として、いくつかの国の初歩の読本の例を挙げ、「初歩の読本の与える不思議な雰囲気だけは、全然翻訳のできないもの」と記している。

昭和5年(1930年)の随筆だが、初めてその国の母語を学ぶ教科書であれば、寅彦の「その国々特有の色と香がきわめて濃厚に出ている」という意味をある程度理解できる。……

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