(円卓)間伐材とESD・SDGs

中部大学教授 宮川 秀俊

わが国の森林面積は国土面積の3分の2で、自然林は6割、人工林は4割である。人工林の樹木は、戦後、全国の山々に植えられたスギ、ヒノキ、カラマツなどで、その半数が一般的な主伐期である樹齢50年を超えている。

周知のように、人工林を育て、主伐材を得るには下刈り・除伐・間伐の実施が必須であるが、特に間伐材については、林業の生産性、人材の育成、産出木材の利用、輸入木材との競争などの諸課題がある。これに多くの関係者が取り組んでいるものの、長年にわたる問題として存在している。

このような背景のもとで、2005年に日本国際博覧会(愛称:愛・地球博)が愛知県で6カ月間開催された。スローガンは、「自然との対話」「現代技術の体感」「世界の人々との交流」。そこでは環境に関わる多くの展示やイベントが行われた。

筆者らは、瀬戸会場市民パビリオンで「間伐材によるものづくりとコンテスト」を行い、来場者に向け、間伐の大事さと間伐材の利用を訴えるテーマとして展開した。いみじくも、時を同じくして「国連ESDの10年」(05~14年)が採択され、国際的に推進されることになった。そして、この成果とその後の方針決定のために、14年に同じ愛知・名古屋で「ESDに関するユネスコ世界会議」が催されて、引き続き取り組む方策が示された。

また、博覧会を一つの契機とし、そのスローガンと関わり、トヨタ産業技術記念館では各種のものづくりイベントを実施、次代を担う子供を対象としたワークショップを企画し実践した。

現在も発展的に取り組まれており、筆者らも賛同して、ワークショップ「間伐材でモノづくりをしよう!」を開設。間伐材に触れ、慣れ、親しむことにより、人工林の知識とものづくりの技能を身に付ける活動を展開している。

以上を振り返ると、間伐材を通して持続可能な社会に向けた行動、すなわちESD活動を自ら行ってきたことに改めて気付かされる。これは取りも直さず、SDGsの目標15の「陸の豊かさも守ろう」につながっている。おそらく、このような実践や体験を有している方も多いと思われる。

「ESD・SDGsは、意外に身近なところに存在している」と感じていただけるよう、あえて自身の経験を紹介した。

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