鐘を鳴らす子供たち

舞台は終戦2年後の1947年。小学6年生の良仁は過去に出演した劇の演技が評価され、戦後の浮浪児を描いたラジオ放送劇「鐘の鳴る丘」に出演する。

古内一絵 著
小峰書店
1600円+税

序盤は、厳しい演技指導を受けながらも、成長していく良仁や他の子供たちにほっこりさせられる。

台本が長すぎるため放送時間内に収まらないことを危惧した演出家の牛山が「われわれは敗戦の民だ」と声を荒らげて脚本家の菊井と口論する姿に、この時代の人間の複雑な胸中に思わずはっとさせられる。

また、GIのヒギンス少佐が子供たちにケーキを差し入れするシーンも印象的だ。東京大空襲で父親を亡くした将太が感情を押し殺しながら、ケーキを口いっぱいに頬張る姿には胸が締め付けられる。

戦争をテーマにした作品は多く存在するが、それらとはまた違った新しい「当時の情景」を見せてくれる。

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