(鉄筆)「時をかける少女」……

「時をかける少女」「転校生」など、数々の名作を手がけられた映画監督の大林宣彦氏が亡くなった。肺がんで余命宣告を受けてもなお、「映画の力を次の世代へ」と、遺作となる反戦ファンタジー「海辺の映画館―キネマの玉手箱」を完成させたばかりであった。心から冥福を祈りたい。

その大林監督が、以前、ある新聞のコラムに書かれていた。〈映写機は、シャッターが下りてフィルムが入れ替わる瞬きを1秒間に24回し、1つの瞬きに9分の4秒かかる。なので、1時間半の映画であれば、絵が映っているのは50分、残りの40分は闇〉なのだが、〈この闇は、文章でいえば『行間』である。観客にこの『行間』を読ませることが演出だ〉と。

「行間」とはうまい表現だが、映画にせよ、文学にせよ、絵と絵の間、文と文との間の「行間」を豊かに想像することが、その醍醐味(だいごみ)でもある。……

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