(鉄筆)相変わらず、新型コロナ……

相変わらず、新型コロナウイルス関連の情報が、書籍を含めあらゆるメディアに満ちあふれている。食傷気味で、代わり映えしない情報とは思うのだが、知らないと不安になり、つい見たり読んだりして安心するという、まさに情報に振り回される日々である。

以前、評論家の森本哲郎氏は、その著『読書の旅』(講談社)の中で、本が単に情報を得るために読まれ、そして次々に捨てられていく書物の情報化に触れて、「情報社会は、まず、知恵を知識に変えた。ついで知識を情報に変える。情報化は人間にとって何より大切な知恵が、ついに情報になりさがることなのである」と述べ、そして、こう続く。「自分にとっての大切な一冊を探すということは、逆に、数限りない情報のなかから知識を求め、求めた知識をさらに知恵にまで引き上げようとする作業ではないか」と。

そういえば、外出自粛要請で十分に時間があり、日頃読めない本をじっくり読みたいと思いながら、気が付くと新型コロナウイルスの情報に振り回されている自分がいる。困難な「作業」ではあるが、あり余る時間を「自分にとって大切な一冊を探す」作業に充てるべきではないか。

4月23日~5月12日の3週間は、こどもの読書週間であった。今年の標語は「出会えたね。とびっきりの一冊に」だが、くしくも森本氏のいう「自分にとっての大切な一冊」に通じる標語である。

例年とは異なり、学校休業中での読書週間ではあったが、子供たちにとって、新型コロナウイルスに負けず、「とびっきりの一冊」に出会えた週間であったことを祈りたい。

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