(円卓)新型コロナによる密と隙を防ぐ

日本こどもの安全教育総合研究所理事長 宮田 美恵子

コロナ禍は、学校にも大きな影響を与えた。長期休校はもちろん、学校再開後も学習の遅れを取り戻すため非常に「密」なカリキュラムになるだろう。「3密」をあれだけ避けたのに皮肉な話だ。このような状況では、安全教育に時間を取ることはますます難しいかもしれない。

しかし、危機は常に存在する。犯罪や交通事故、熱中症、さらに地震や水害など、いつどこで子供たちが危機に遭遇してもおかしくない。先生方にはぜひ、遅れを取り戻すだけではなく、想定外の事態についても心構えを持ってほしい。それが学校生活全体を通した安全教育にもつながる。

思い出すのは東日本大震災後のことだ。社会全体に何とも落ち着かない不安が感じられた。コロナ禍でも、社会や経済の混迷で自暴自棄になることがあるだろう。過去の事件を見れば、社会における大人の不安感が形を変えて子供に向かうことが多々あったのも、周知の事実だ。

気になるのは通学路だ。分散授業に伴う分散登下校などが実施される場合がある。分散登下校は時間帯が幅広い。家庭も、学校も、地域の見守り手も、全ての時間帯に目を配るのは難しい。皆が手探りで慣れないことに向き合うことになる。こういう状況で必然的に生じるのが「隙」だ。心理的、物理的な「隙」は、犯罪を呼び込みやすい。

今、できることがある。さらなる危機を呼び込まないために、警察OBであるスクールサポーターの配置、増員を依頼してほしい。また、過去に起きた事件の後のように、通学路に警察官を配置するよう管轄の警察署に直接、依頼してほしい。事件が起こってから配置するのではなく、社会の不安が高まり想定外のことが起こり得る今だからこそ、先手を打ってほしいのだ。

その際に大事な点は、スクールサポーターであってもボランティアと同じ蛍光色のベストでなく、警察官の制服に準じた服装で任に当たってもらうことだ。防犯の専門家がそこにいる、という存在感のアピールで犯罪抑止の効果がある。また、保護者や地域の人の安心感にもつながる。これを「見せる防犯」という。

今が震災後に匹敵するような不安定な状況であると認識し、「隙」ができやすい時だからこそ、想定外を想定して犯罪を予防する手だてを先に講じることだ。予防が安全教育、安全管理の基本である。

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