(円卓)学校行事の安易な中止に待ったを

学習院大学教授 長沼 豊

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、学校教育においてはさまざまな学習活動の変更を余儀なくされた。休校した分の授業を取り戻さなければならず、教科学習の年間時数を確保しなければならない。その結果、教科以外の教育活動を削減しようと考え、学校行事を安易に中止にした学校が見受けられる。

しかし本当にそれで良いのだろうか。

学校行事は特別活動の内容の一つであり、学習指導要領に明記されている。学習指導要領の、いわゆる最低基準性から考えると、示されている教育活動は全て実施しなければならない。

従って児童生徒の安全を確保しつつ、可能な範囲で特別活動、および学校行事の目的を達成できるように配慮して実施しなければならないものである。もちろん、いわゆる3密を避けることを考えて、これまでと同じ内容・方法は難しいという判断は必要だ。

その場合でも規模を縮小したり、実施方法を変更したりして実施することは可能である。実際、学校行事を中止せず、工夫して実施した学校も見受けられた。

例えば、学年を分けて出場し、種目や規模を縮小して運動会を実施した学校、行き先を学校から徒歩可能な場所に変更して遠足を実施した学校もある。このような学校では、学校行事の意義や趣旨、本質を協議した上で実施したと聞く。

学校行事に限らず、学校関係者は、今回の未曽有の休校期間の経験を通して、改めて学校とは何をするところか、今まで実践してきた教育活動の中でスリム化できるものはないかという視点を持てたのではないだろうか。

ピンチをチャンスに変えて取り組むことができたのは、安易に中止にしなかったからである。さらには教員の働き方改革につながるヒントも得たのではないだろうか。

学校行事が集団づくり、学級づくりに大きく寄与することは言うまでもない。行事に仲間と一緒に取り組む経験を通して培われた集団の凝集性が、教科の授業に良い影響を及ぼすのである。仲間と共に学び合い、助け合う支持的風土が形成されるからである。

学校行事を安易に中止しなかった学校では、このような効果が担保され、今年度の後半にも良い影響を与えるに違いない。

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