できちゃいました! フツーの学校

富士晴英とゆかいな仲間たち 著
岩波書店
860円+税

東京都にある宝仙学園中学校・高等学校の校長を務める筆者による一冊。有名大学の進学率が高いわけでもなく、全国大会出場の常連の部活動があるわけでもない自校を「フツーの学校」と称し、特筆すべきことが少ない学校だからこそ心掛けるべき学校運営を紹介する。

3章構成になっており、第1章は筆者の学校運営に対する考え方を示す。特に興味深かったのが、同校のビジョンを「知的で開放的な広場」という曖昧なものにした理由について、「例えば、『時間厳守』や『遅刻厳禁』みたいな、超具体的なことをこたえてしまうと、そこに解釈の余地はなくなります。言葉がみんなのものになるためには、抽象的であることが必要だと思います」と説明していたことには思わず膝を打った。厳格な言葉や数字を目標にすると、生徒はガチガチに縛られてしまい自主性を育むことが難しくなる。この配慮は非常に大切な視点だろう。

第2章では、副校長や教師、卒業生たちが同校の学習について話す。論理的思考を育むカリキュラム「理数インター」を中心としたユニークな取り組みが、教師目線、生徒目線で語られており、各人が学校教育を楽しんでいる雰囲気が伝わってくる。そして、筆者が読者に「誰のための教育にしたいのか?」と問い掛ける第3章に続く。

終始、決して背伸びしない生徒ファーストの学校づくりが記されており、学校という機関の本来の意義を確認することができる。

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