(円卓)ウィズコロナの学校経営

東京家政学院中学校・高等学校校長 佐野 金吾

長年学校経営に関わっているが、新型コロナウイルス感染症拡大が学校現場に及ぼした影響は、これまでにないくらい大きい。学校教育の在り方の見直しを迫られるとともに新たな道も開かれたと考える。

4月、5月の2カ月間は生徒が学校に来られない状況で、どのような学校教育に取り組めばいいのか、教職員一同大いに悩んだ。しかし、「窮すれば通じる」の例えのように教職員がそれぞれの特性を生かし見事に難局を乗り越えた。

ICTの優れた技能を持つ教員は、オンラインツールを活用した技能的な指導を行い、図書館担当教諭は学校図書の無料宅配サービスに取り組み、体育科の教員は体操の動画を配信し生徒の運動不足の解消に努めるなど、コロナ禍の中で見事に組織的な学校運営が実践され、「学びの継続」を絶やさぬよう努めた。このような取り組みを可能にしたのは、やはり保護者の理解と協力であり、そのための学校長の呼び掛けが重要であった。

学校休業中の学習活動として特筆すべきは一人の教師が金沢工業大学の「Stay Home for SDGs」のプログラムへの呼び掛けに全教員が賛同した活動である。

このプログラムはSDGsの17のゴールに向け、1日に一つのゴール達成を目指す生徒の主体的な学びができるようになっている。5月の17日間は全生徒が各自家庭で1日1題の課題に向けた学習に取り組んだ。コンポストによる食品ロス対策やフェアトレード商品の購入、環境保全を呼び掛ける動画作成など、日頃の教科の学習では実践できない主体的で体験的な学習活動が行われていた。生徒の中にはオンラインツールによって学習活動を共有する「SDGs活動報告会」なども行っていた。

6月の学校再開後は、こうした生徒の学習体験を生かした教育活動の展開のためカリキュラムの徹底的な見直しとともに学校という場を有効・適切に活用する教育活動の在り方を全教職員によって協議した。授業展開・学習活動の工夫に取り組むとともに生徒の直接体験を重視する学校行事についてはコロナ対策を徹底し、体育祭・文化祭の2大行事を無事に開催することができた。

コロナ禍、教員一人一人が学校運営に当事者意識をもって組織的に参画したことに大きな意義を感じている。

あなたへのお薦め

 
特集