(鉄筆)例年、全国学校図書館協議会は……

例年、全国学校図書館協議会は、5月の1カ月間の子供たちの読書冊数や1冊も本を読まなかった不読者の割合などを調査し、その結果を公表しているが、今年度はコロナの影響で調査を実施しなかったようだ。

コロナ禍での子供たちの読書状況を知りたかったがそれは別にして、この調査でいつも気になることは、小中学生に比べ、生きることに真剣に向き合い、人生について考え始めるはずの高校生にあって、不読率が55%前後と格段に高いことである。その理由は、部活動などで時間がない、本を読まなくても別に困らないなどいろいろあるのだろうが、突き詰めて考えると、心を揺るがし、読んでよかったと思える本に巡り合えないことにあるからだろう。

確かに、膨大な本の中から、自分にとって価値ある貴重な本に巡り合うことは難しい。しかし、手をこまねいているだけでは本は歩み寄っては来ない。そうした意味では、あえて読まざるを得ない状況に自らを追い込むことも必要ではないか。

思い返せば高校時代、豊かな読書生活ではなかったが、「倫理」の宿題だった岩波新書『ソクラテス』、図書室で何げなく手にし、感動して一気に読み進めた『病牀六尺』、文学好きの友人の勧めで読んだ『金閣寺』『山椒魚』など、どうしても読まざるを得ない状況での読書が、その後の自分の読書生活に大きな影響をもたらしたことは事実である。

10月27日から11月9日までの読書週間、感動を覚える本に巡り合えた高校生が一人でも多くなったことを心から願わずはいられない。

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